海外メディアは全仏での錦織ナダル戦惨敗を「疲労蓄積」「戦略ミス」と分析
テニスの全仏オープン、男子シングルスの準々決勝がフランス・パリで行われ、世界ランク7位の錦織圭(29、日清食品)は、同ランク2位で大会3連覇を狙うラファエル・ナダル(33、スペイン)と初のベスト4進出をかけて対戦したが、1―6、1―6、3―6のストレート負けを喫した。第3セット途中に降雨で約1時間中断するアクシデントがあったが、再開後も錦織はペースを取り戻すことができず完敗した。 男子プロテニス協会(ATP)の公式サイトは「錦織はグランドスラム大会ではいつも準々決勝で行き詰まる」との見出しを取って敗因を分析した。 「錦織圭は火曜日にナダルの勝利を称えたが、準々決勝にたどり着くまでにあった長時間の試合が代償となったことを認めた」とし、3回戦、4回戦と、2試合続けて5セットマッチを消化したことによる体力消耗、疲労蓄積の影響で「良いプレーができずにイラ立っていた」と指摘した。 試合後、錦織は「体が動かなかったのでフラストレーションがたまった」とコメントしている。 「グランドスラム大会で8度、準々決勝で敗退した錦織は、全米オープンでは最高の成績を残しており、チリッチに敗れた2014年に決勝進出、ワウリンカに敗れた2016年、ジョコビッチに敗れた2018年は準決勝に進出した」と、全米が得意コートであることを紹介して、最後に「2019年の戦績を23勝10敗とした錦織はNitto ATP Finalsの5度目の出場資格を得るために力強い戦いを続けている」と好意的に伝えた。 テニス専門サイトの「テニス・ドットコム」は「ナダルが準々決勝で錦織を取り壊す」との見出しでナダルの快勝を伝えた。 記事は「錦織との試合でナダルはわずか1度しかブレークを許さなかった。彼はそれぞれのセットの序盤のチャンスで優位に立ってリードを作り錦織を意気消沈させた」とレポート。 「錦織は、2試合続けて5セットマッチをプレーしてから、この戦いに臨み、第3セットの始まりに治療を受けたように右肘に問題を抱えていた。ベスト4進出のチャンスをつかむためにはベースラインでの打ち合いに比重を置いて戦うことを避ける必要があったが、彼は、その引き金を引くことができなかった」と敗因を指摘した。 わずか1時間51分で終わったこの試合でナダルは、リターンの55%でポイントを獲得し、ネットプレーでも9本のアプローチから8本でポイントを取ったという。 英国のBBCは、準決勝が世界ランク3位のロジャー・フェデラー(37、スイス)とナダルの対決になることに主眼を置いた記事を掲載。その中で「ナダルは前の2試合で5セットを費やしてきた日本選手で第7シードの錦織に1時間51分で快勝した」とだけ短く触れた。 イギリスのネットメディアのオムニスポーツは「ナダルがフェデラーとの対決の手はずを整えるために錦織を打ちのめす。前年王者のナダルに第7シードの錦織は近づくことができなかった」と厳しく報道した。 記事は「ナダルは序盤から容赦なく、錦織の最初のサービスゲームをブレーク。高いモチベーションを持ったナダルは、35分以内に第1セットを終わらせ、第2セットの最初のゲームでも彼のエネルギーのレベルを落とそうとせず、錦織のミスにも助けられラブゲームでブレークした」と試合展開を紹介。 「錦織は、やっと反撃を見せて攻撃的なテニスを仕掛け、ブレークバックのチャンスをいくつか作り出し、実際、ブレークバックしたが、再びネットにショットをかけリードを許した。困惑した錦織は、ナダルと勝負できず、サーブゲームをさらに2つ奪われ、長く競うことができず早々にセットを落とした」と続けた。 記事はまた「雨の恐れだけがナダルの試合進行の妨げになりそうだった。錦織のミスショットで決定的と思われるブレークを得て、灰色の雲が迫るのに気が付いていたナダルは試合終了へと急いだ。それでも、悪天候による約1時間の中断が挟まれたが、それも錦織の助けとはならず、再開後、ナダルはすぐに試合を終了させた」と、錦織が歯が立たなかった様子をレポートした。 ただでさえ苦手なクレーコートに加え、3、4回戦での体力の消耗などが重なり世界2位のナダルを相手にしたのだから“番狂わせ”を起こすのには無理があったのかもしれない。