【そもそも解説】フリーランスを守る法律が施行される その内容は?
Q フリーランスとは? A 特定の企業や団体に所属せずに個人で仕事を請(う)け負(お)って収入を得る人たちを指す。働き方の多様化(たようか)に伴って広がり、2020年の国の調査によると、全国で462万人いる。 【写真】フリーランス法 七つの禁止行為 Q 働き方の特徴は? A フリーランスは自由に働けるが、一方的な仕事のキャンセルや報酬(ほうしゅう)の不払いなど、発注者から様々な不利(ふり)な条件を強いられやすいとされる。組織で事業を展開する発注者は、1人で活動するフリーランスに比べて交渉力や情報収集力が強い傾向(けいこう)にあり、上下関係(かんけい)が生じやすい。 Q 法律ができた背景は? A 企業などに雇用(こよう)される「労働者」であれば、労働基準法などによって権利が保護される。フリーランスは労働者ではないので、最低限のルールを設けて取引のあり方を正す必要があった。 Q 法の具体的な内容は? A 対象になるのは、事業者がフリーランスに向けて委託する業務だ。消費者から頼まれる取引は対象外となる。 発注者は、業務を委託した日やその内容、報酬の額といった取引条件を書面やメールなどに記し、明示しなければならない。フリーランス自身が発注者になる場合もこのルールを守る必要がある。 従業員がいるような組織が、1カ月以上にわたる業務を発注した際の禁止行為も定められた。フリーランスに責任がないにもかかわらず報酬を減額したり、発注した物品の受け取りを拒否したりするなど、7種類の行為だ。 発注者はハラスメント相談対応の体制を整える必要があり、6カ月以上の取引では育児や介護をしながら働けるよう配慮する義務も課された。 Q ペナルティーは? A 取引条件の明示違反、禁止行為のいずれも、必要な措置をとるよう勧告(かんこく)を受けることになる。勧告に従わなければ罰則付きの命令が出される。公正取引委員会は、勧告や命令を出した事業者については、違反行為の内容と共に事業者名も公表する運用を明らかにしている。(中野浩至)
朝日新聞社