50代の父に下された、がん宣告…のしかかる治療費に「がん保険に入っていればよかったの?」「心配で夜も眠れない」不安がる家族へ、FPがさすがの回答
心配せず、「高額療養費制度」「多数回該当」制度の活用を
生徒:高額療養費制度や多数回該当の制度を使うには、どうしたらいいのでしょうか? 先生:「高額療養費制度」を使おうとするときには申請が必要です。申請の窓口は、会社員なら協会けんぽや組合健保、自営業なら市区町村です。注意が必要なのは、申請してから、上限を超えた分のお金が戻ってくるまでに数ヵ月かかるということです。ですから、早めに高額療養費を申請して「限度額適用認定証」をもらっておくとよいでしょう。それを病院窓口で提示すると、支払いは限度額ですみます。また、マイナンバーカードを保険証として使っている場合は、限度額適用認定証がなくても限度額の支払いですみますし、そもそも申請は必要ありません。 生徒:マイナンバーカードを使ったほうがいいですね! ◆「傷病手当金」…会社員なら、給与の3分の2の金額をトータル1年半まで受け取れる 先生:これらに加えて、会社員ならは「傷病手当金」の制度も使えます。これは、病気やケガのために、連続する3日間を含み4日以上仕事を休んだ場合、会社からその分の給与が出ない場合は、給与の3分の2の金額をトータル1年半までは受け取ることができる制度です。残念ながら、自営業の人の国民健康保険には傷病手当金の制度がありません。
マスコミ報道等で見かける、がんの「先進医療」って?
生徒:インターネットのSNSでは、がんの「先進医療」の情報や患者体験談がたくさん出てきますが、「先進医療」とはどのようなものでしょう? 先生:特定の大学病院などで研究・開発された難病などの新しい治療や手術などは、ある程度実績を積んで確立されると、厚生労働省に「先進医療」として認められます。 先進医療は、公的医療保険の対象にするかを評価する段階にある治療・手術などです(「公益財団法人生命保険文化センター」ウェブサイトより)。 生徒:具体的な治療には、どのようなものがありますか? 先生:先進医療として比較的よく知られているのは、放射線治療の「陽子線治療」、「重粒子線治療」、内視鏡手術支援ロボット・ダヴィンチを使用した患部の切除手術「ダヴィンチ手術」などです。陽子線治療は、水素の原子核を加速した陽子線をがんの患部に照射する方法です。重粒子線治療とは、炭素の原子核を加速させた重粒子線をがんの患部に照射する方法です。どちらも粒子線を使う治療法なので、ピンポイントで病巣に照射することができます。照射の回数が少ないため、身体への負担が少ないというメリットがあります。 生徒:なるほど…。 先生:先進医療は治療効果に関する科学的証拠が少なく、不確実な医療のため、健康保険の対象外となっています。それゆえ、治療そのものは全額自己負担となります。 生徒:全額自己負担となると、かなり高額な費用を自己負担しなければならないということでしょうか? 先生:たとえば、重粒子線治療の場合、1件あたり300万円と高額になります。ただし、先進医療の医療費は、一般的な自由診療とは異なり、確定申告の「医療費控除」の対象となります。
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