〈詳報〉出水市の養鶏場、高病原性鳥インフルエンザ感染確認 今季県内初、国内10例目 12万羽の殺処分始まる 周辺10キロに鶏や卵の移動・搬出制限区域を設定
高病原性鳥インフルエンザが疑われた鹿児島県出水市高尾野の養鶏場について、鹿児島県は20日、遺伝子検査で感染を確認し、採卵鶏約12万羽の殺処分を始めた。陽性確認は今季、県内初で国内10例目。同日午前7時から、県職員らが交代で作業を進めており、同日午後3時現在で約1万6000羽(13%)を殺処分した。 【写真】鳥インフルエンザ発生農場でガスを用いた鶏の殺処分に当たる県職員ら=20日、出水市高尾野(鹿児島県提供)
19日通報があり、鹿児島中央家畜保健衛生所が検査していた。20日朝、全10検体からH5亜型ウイルスが検出され、農林水産省が高病原性の疑いがあると判定した。さらに詳しいウイルス型は国の専門機関で解析中。 県家畜防疫対策課によると、養鶏場は野鳥が多く集まるツル越冬地のすぐそばに立地し、2022年にも被害が出た。窓のないウインドレス型と開放型の鶏舎で鶏を飼っていて、前回はウインドレス、今回は開放鶏舎の鶏からウイルスが検出された。20日午後、農水省の疫学調査チームが現地入りし、感染原因や経路を調べている。 県は発生農場から半径3キロ内の16農場に立ち入り、目視で異常は確認されなかった。半径3キロ内を鶏や卵の移動を禁じる移動制限区域に、半径3~10キロ内(73農場)を域外への持ち出しを制限する搬出制限区域に設定。周辺6カ所に畜産関係車両の消毒ポイントを設置した。 塩田康一知事は農林水産副大臣とウェブ会談し、発生要因の究明や風評被害対策への協力を要請した。
◇野鳥4羽の死骸からも「高病原性」検出 鹿児島県は20日、出水市の東干拓地区と荒崎地区で回収していたナベヅル3羽とヒドリガモ1羽の死骸から、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1亜型)を検出したと発表した。野鳥からの高病原性の確認は今季初めて。 4羽は16、17日に回収。簡易検査で鳥インフルの陽性反応が確認されたため、鹿児島大学で遺伝子検査をしていた。県自然保護課は「死んだ鳥を見つけた際は触らずに、各自治体に連絡してほしい」としている。
南日本新聞 | 鹿児島