またもや警察マニアの愚行…免許証偽造に加え「ニセの警察手帳」で職務質問…お粗末な事件の内容とは
奈良県警察西和警察署は、’24年4月17日夜、大阪府堺市の浜寺公園で20代男性4人に対しニセの警察手帳を使用し「職務質問」を行ったとして、公記号偽造同使用の疑いで大阪府高石市の能塚翔悟容疑者(26)を逮捕した。 【写真】細部まで再現…容疑者が所有していた「ニセ覆面パトカー」の現物…! しかしなぜ奈良県警が大阪府内で起きた事件を捜査したのか。事件の発端は免許証の偽造行為にあった。 能塚容疑者は今年5月、運転免許証を偽造したとして有印公文書偽造・同行使の疑いで逮捕された。 能塚容疑者は大阪府内の配送会社の社員で、西和警察署管内で積み荷の荷捌きが路上で頻繁に行われることから、駐車禁止除外の許可証を取得するために配送会社の別の社員が必要書類や免許証のコピーを西和署に提出した。その際、西和警察署の署員が同容疑者の免許証のコピーの字体がおかしいと気づいたことから捜査が始まり、逮捕に至ったのである。 しかも家宅捜索を行った際、同容疑者の自宅からは免許証は発見されず、調べたところそもそも免許証を保有すらしていない、無免許という事実が判明した。そして家宅捜索の際に、今回の冒頭に書いたニセの警察手帳をはじめとする警察グッズの数々が発見され、さらなる悪行が発覚したのである。 能塚容疑者はニセの警察手帳をウェブサイトで購入、自身で「大阪府警察」の文字が刻印されたプレートを貼り、大阪府警の私服警察官を偽って職務質問と称して声を掛けたという。ニセの警察手帳には本名をわざわざ記載しており、変なところは真面目なようだ。 実際に「職務質問」を受けた20代男性の連絡先等が残されており、西和署が捜査のためにニセ職質を受けた被害者男性に連絡をした際、「本物の警察官だと思った」と話したという。能塚容疑者は「警察マニアとしての欲求を満たすために警察手帳を偽造し職務質問した」と供述し、容疑を認めているという。容疑者の自宅から浜寺公園までは車で15分ほどの距離である。 「警察グッズ」は他にも保有しており、モデルガンや警棒、「防犯」と書かれた腕章や帯革と呼ばれる拳銃や警棒等を下げるベルトのようなものまで揃えていた。モデルガンは警察官が実際に使用する本物と同じモデルを所持しており、拳銃にはより本物に似せようと思ったのか手書きで小さく「大阪〇×」と識別番号のようなものを記していた。 そして押収品の中には赤色灯と車載マイクもあった。なんと能塚容疑者は自分のマイカーも覆面パトカー仕様にしていたのである。車種は日産ティアナで、全国で使用されている捜査車両だ。屋根には無線を模したアンテナや、車内に赤色灯を通す配線を止めるクリップを取り付ける等、本物を忠実に再現していた。 今年2月に福岡で発生したニセ覆面パトカーと同様に仕立てたクルマがここにもまた存在したのである。同容疑者のニセ覆面パトカーもまたサイレンを鳴らしての緊急走行が可能な状態だったという。無免許で緊急走行をしていたと思うと恐ろしい話である。 押収した車両は警察の調べが終わり能塚容疑者の自宅へ返却されていた。警察は車の不正改造等の余罪もあるとみて捜査を続けている。悪行を重ねる警察マニアがまた一人、法の裁きを受けることになる。 撮影・取材・文:有村拓真
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