刑務所の元トップが語る塀の中のリアル 「無期懲役囚でも特別扱いしない」 共犯者の死刑執行では緊張感も
●緊張感に包まれる「無期懲役囚の共犯者」の死刑執行
山本さんによると、無期囚の中には共犯者が死刑判決を受けた者も珍しくなく、刑務所のテレビで共犯者の死刑が執行されたというニュースが流れると、受刑者たちが食事を取る食堂の雰囲気が変わるという。 死刑事件に関わった無期懲役囚は一生仮釈放されることはないだろうという暗黙の了解が塀の中にはあり、周りの受刑者たちがその無期囚の心情を読み取って緊張感に包まれるためだ。 共犯者の死刑執行を知った無期懲役囚が絶望して自殺したり暴れ始めたりしないように、刑務官らはいつもより注意深く本人の様子を観察して対応にあたるという。
●終身刑は刑務所運営が困難になるとの声も
凶悪事件で命を奪われた被害者の遺族は多くの場合、加害者に極刑を望む。 ただ、日本で死刑の次に重い刑は無期懲役刑であり、死刑を免れた無期懲役囚には再び社会に戻ってこられる仮釈放の可能性があるため、被害者や遺族の間には仮釈放のない終身刑を求める声もある。 これについて、刑務所の中で働いたことがある複数の元刑務官たちに話を聞くと、受刑者によっては一生刑務所から出さないようにした方がよいという意見がある一方、仮釈放の可能性が全くなくなれば受刑者が自暴自棄になって刑務所の運営が困難になるため難色を示す人もいた。