ボーナスは「2ヶ月分」とのことでしたが、10万円しか振り込まれていませんでした…想定の半額以下ですし、さすがに違法ではないのでしょうか?
業績悪化などを理由として、ボーナスの金額が減ってしまうことは珍しくありません。例えば、基本給の2ヶ月分と聞いていたのに半額以下の10万円しか振り込まれないケースもありえます。想定より極端に少ないと、「さすがに違法ではないか」と疑わしく感じる場合もあるでしょう。 そこで、本記事では少なすぎるボーナスの法的な観点から問題の有無などについて解説します。
ボーナスに関する企業の義務
違法性について検討する場合は、まずボーナスの法的な概念を理解しなければなりません。労働基準法第11条によると、ボーナスは賃金に属するもので従業員に支払う労働の対価とされています。 また、労働基準法の施行に関する通達のなかで「支給額があらかじめ確定されない」という特徴が説明されています。そのほかに、厚生年金保険法や健康保険法でも賞与が定義されています。これらに共通しているのは、ボーナスの支給を企業に義務付けていないことです。 つまり、支給額のみならず支給の有無の決定すら企業に委ねられているのです。そのため、ボーナスが従業員の想定より少なくても、それだけでは基本的に違法とはいえません。あくまでも任意で支払われるものになるため、業績悪化などで減ることは十分にありえます。
違法の可能性があるケースとは?
前記は、原則的な話であり、実際には法的に問題が生じるケースもあります。具体的には、企業との労働契約でボーナスの支給額や計算方法が定められている場合です。企業は、従業員を雇用するときに詳細な労働条件を通知します。 その際、「基本給の2ヶ月分」などと支給額の確約があれば、企業はこれに従って支払わなければなりません。就業規則で明確に定めている場合も同様で、従業員には記載どおりボーナスをもらう権利が保障されています。 経営上の理由で、企業がやむを得ず支給額を下げたい場合でも従業員の同意を得ることが不可欠です。もしくは、事前に就業規則などを変更する措置が求められます。これらを実施しないまま一方的に減額した場合は、違法と見なされる可能性があるでしょう。