グローバルでの逆風、ステーブルコイン、決済、IEO:バイナンスジャパンの半年と今後を千野代表に聞く
IEO支援を今年後半から
流動性という観点では、日本のプロジェクトからバイナンスへの上場、いわゆるIEOについての問い合わせが増えているという。 「我々は100銘柄を目指しているが、日本から海外にプロジェクトを紹介していきたい。今まで取り扱ってきた銘柄は、バイナンスグローバルですでに扱っているものを日本に持ってきただけで、そこまでのサプライズはない。日本円の板取引は初めての取り組みだが、銘柄についても、我々が日本で発掘した銘柄を海外にスケールしていくサポートをしていきたいと考えている」 引き合いは「相当数」あり、話をするなかでテーマにあがるのが「流動性」の問題だという。IEOでは現状、多くの場合は単一の暗号資産取引所が販売・流通を受け持つ。信頼できる取引所に任せられるというメリットがある反面、流動性は取引所のサイズに限られる。そうした問題から、IEO後の価格形成に懸念を持つプロジェクトが存在するという。さらにグローバル展開を見据えているのであれば、バイナンスジャパンを利用することは、その後のよりスムーズな展開につながる。 「今はまだ体制が整っていないが、今年後半ぐらいから考えていきたい。バイナンスグローバルにはローンチパッドというサービスがあり、これを日本のIEOのフレームワークに当てはめていきたい」 IEO(Initial Exchange Offering)は、暗号資産(仮想通貨)を使った資金調達手法として、注目を集めているが、上場後に公募価格を割る事例も見られ、批判的な見方もある。「ひとつの成功ケースを示したい」と千野氏は語った。
年内を目指すステーブルコイン
IEOに積極的な姿勢を見せた一方で、サービス当初に打ち出したステーブルコインについてはその後、あまり話が聞こえてこない。昨年、ステーブルコインをめぐる動きが活発化してきた際に、三菱UFJ信託銀行が早い段階でバイナンスジャパンとの共同検討を発表したことは、ある種の驚きだった。 関連記事:Binance Japanと三菱UFJ信託銀行、2024年中のステーブルコイン発行を目指す──「Progmat Coin(プログマコイン)」基盤を活用 「昨年はグローバルからのユーザー移行に注力してきた。今年はステーブルコインのプロジェクトを推進する時期と考えている。バイナンスはグローバルプラットフォームであることがポイントなので、最終的には日本の法律に基づいて発行されたステーブルコインがグローバルプラットフォームで使われることを実現していきたい。三菱UFJ信託銀行、プログマ(Progmat)との取り組みもそのひとつ。他にもまだ具体的に発表できる段階ではないが話が進んでいる」 年内という目標は変えずに発行、もしくは他社が発行したものを取り扱っていくと述べたが、厳しい規制や信託報酬、プラットフォーム利用料などから収益を上げられるビジネスモデルを描くことは簡単ではないと千野氏は述べた。