クレームが殺到した名作ドラマは? ドラマ史に残る問題作(2)一時はバッシングの嵐も…逆転勝利の理由とは?
クレームは、厄介者扱いされるのが常である。しかし「クレーム」が「要求(claim)」を語源としていることを考えると、世相を反映する世間の声とみなすこともできる。今回は、放送当時、視聴者からクレームが殺到したものの、再評価の機運が高まっている作品を5本紹介する。第2回。(文・編集部)
『女王の教室』(2005、日本テレビ系)
演出:大塚恭司、岩本仁志、渡部智明、木内健人 脚本:遊川和彦 出演:天海祐希、羽田美智子、原沙知絵、内藤剛志、志田未来、福田麻由子、松川尚瑠輝 【作品内容】 新しく6年生になる神田和美(志田未来)は、始業式の日に、阿久津真矢(天海祐希)という新任教師の噂を耳にする。母親の章子によれば、真矢は2年間現場を離れてはいたものの、生徒の成績を必ず上げる優秀な教師とのことだった。だが、姉の優は、真矢に関して身の毛もよだつほど恐ろしい噂があると言う…。 【注目ポイント】 子どもたちを叱咤激励し、その成長を温かく見守るー。学園ドラマに登場する教師といえば、多くの人がそんなキャラクターを思い浮かべることだろう。しかし、『GTO』(1998、フジテレビ系)で知られる遊川和彦は、今さらそんな凡庸な教師など描かない。彼が描くのは、とことん生徒を虐げる教師だ。 「いい加減目覚めなさい」ー。黒づくめの衣装で生徒たちに向かって高圧的にそう言い放つ主人公、阿久津真矢。その姿は、遊川がモデルとしたという『スター・ウォーズ』シリーズの悪役ダースベイダーを想起させる。 作中では、そんな阿久津が、生徒の夏休みをカットしたり、成績にしたがって階級制度を設け、成績上位者を優遇したりと、さまざまな「政策」を実行。そのあまりの「圧政」に視聴者も反発し、一時はスポンサーが提供クレジットの表示を自粛する騒ぎにまで発展した。 しかし、その後、阿久津の暴挙が、生徒たちに理不尽な社会を乗り切るだけの鋼のメンタルを身につけさせるために、あえて行っていたことだと判明。世間の声も徐々に変わっていき、今では学園ドラマの名作の一つとして語り継がれている。 なお、本作は、志田未来や福田麻由子、そして伊藤沙莉など、後に一線級の活躍を見せる子役たちが数多く参加していた作品としても知られている。阿久津真矢の育て上げた生徒たちは、芸能界という荒波の中も鋼のメンタルで乗り切っているようだ。 (文・編集部)
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