横浜FCユースの快進撃の要因は"ニアゾーン"?監督・和田拓三氏に聞いた、ポケットの攻略への定義と重要性
<テーマ2>ニアゾーンの重要性
|ボールと人をニアゾーンに入れていくことを強調 ―ニアゾーンの重要性については、どのように考えますか? 和田 守備で人数をかけてくる相手や人にきっちりとついてくる相手に対しては、ゴールキーパーが出にくい場所、ディフェンダーがマークにつきにくい場所、こちらがシュートやクロスボールなどの選択肢を多く持てる場所という意味で、ニアゾーンを最も重要なエリアと捉えています。ですから、ボールと人をそこに入れていくことを強調しています。 ―ニアゾーンをとりに行く際に欠かせないことは何でしょうか? 和田 いろいろとありますが、絶対に必要なのはランニングで、そこに入っていくタイミングが重要です。あとは、2人以上の関係性がないと、なかなかとれない場所かなと思います。 ―ときには、個人でとりに行くこともあると思います。 和田 ドリブル突破でサイドをえぐっていく選手は、個人でとりに行けます。その中で僕が強調しているのは、「突破するだけではなく、そこから中に入っていこう」ということです。自分自身がサイドの選手だったのですが、中に入ると、かなり視野が広がる感覚がありました。突破することによって、中のディフェンダーを引きずり出せるので、そこを個人でとりに行くドリブルは有効だと思います。 ―横浜FCユースの選手は、サイドバックもそれができている印象です。 和田 そうですね。ただし、ドリブル自体は個人の突破ですが、例えば、センターフォワードが相手のセンターバックを止める作業をしているなら、グループでの突破でもあると考えます。ほかの選手が適切なポジションをとることによって、ボールホルダーが突破しやすくなるケースやスペースを生み出すケースがあります。複数人での関わりが増えると、ニアゾーンをよりとりやすくなると思います。 ―ニアゾーンに入っていくことを実際にサイドバックにも求めているのでしょうか? 和田 攻撃が好きな選手が多いですし、サイドバックに関わらせながら、できるだけ分厚い攻撃をしたいので、入っていくことを求めています。技術が高い選手が多いですし、アイディアを持っている選手もいます。彼らは、自分が伝えた点に対して、プラスアルファを出すことができています。 (続編としてパターン3~5も公開予定。ポジション別のニアゾーンのとり方や、育成年代における注意点を解説) 指導者PROFILE 和田拓三(わだ・たくみ) 1981年10月20日生まれ、静岡県出身。浜名高校から日本大学に進み、2004年に清水エスパルスに加入した。サイドバックとして活躍し、横浜FCなどでもプレー。12年に、アビスパ福岡で現役から退いた。13年から横浜FCを指導。22年と23年はジュニアユースの監督を、24年はユースの監督を務め、今季は高円宮杯U-18サッカープレミアリーグEASTで、優勝争いを演じている( 11月24日時点)。日本サッカー協会公認A級コーチライセンスを持つ
サッカークリニック編集部