SNSで女性を漁って風俗店に紹介して1000万円…160人のスカウトを抱える“巨大デジタル女衒”グループの男(33)が逮捕
システム化された現代の女(ぜ)衒(げん)が警察の手に落ちた。スカウトした女性が売春で得た代金の一部を受け取ったとして、警視庁保安課は9日、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益収受)の疑いで、スカウトグループ「アクセス」所属の無職、堀永純太容疑者(27)ら3人を再逮捕。売春目的で女性をソープランドにあっせんした疑いで、同グループの遠藤和真容疑者(33)を再逮捕した。 【本人の写真】逮捕された遠藤和真容疑者(33)
所属するスカウトは160人、1000万円の紹介料を得た人も…
「アクセスは、島根県以外の46都道府県にある性風俗店約350店舗に女性をあっせんしていた疑いが持たれています。グループに所属するスカウトは約160人に上り、中には1年半の間に1000万円以上の紹介料を得た強者もいた」(警視庁担当記者) アクセスが女性から資金を得る仕組みは、路上でめぼしい女性を見つけて店に紹介する従来型とは違う。SNSを通じて女性を募集、店に紹介して紹介料を得る、いわば「デジタル女衒」なのだという。 「アクセスに所属するスカウトらは女性に身分証や顔写真、プロフィールを送信させ、全国の風俗店に個々の女性の写真やプロフィールを示し、一番高い値段を付けた店に売り飛ばす『オークション』方式で紹介していました。女性が売春で稼いだカネの15%がスカウトにキックバックされる仕組みでした。他に店から顧問料も受け取っていたようです」(同前) スカウトからみれば、一度紹介すれば定期収入が入る「おいしい仕事」だが、女性から見れば仕事を続ける限り搾取され続けることにほかならない。
ホストが女性客にたかった事件が発端に
捜査関係者は「アクセスが浮かび上がったのは、ホストが女性客にたかり、消費者金融に契約させた都ぼったくり防止条例違反事件が発端。この女性客は借金させられるだけでなく、アクセスのあっせんで風俗店でも働かされていた。遠藤はグループの資金管理役だったとみられるが、全貌は不明だ」と話す。 警視庁が血眼になってグループの全容解明を目指すのは、スカウト組織が、事件ごとに離合集散を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)と暴力団との接点になっている疑いがあるからだ。 「2020年に東京・歌舞伎町でスカウトグループを巡り、指定暴力団住吉会系の傘下団体同士の対立が深まり、『スカウト狩り』まで発生している。警視庁にはスカウトを糸口にトクリュウや、暴力団の資金源の実態の一角を解き明かしたいという狙いがある」(同前) トクリュウに関し、露木康浩警察庁長官は「中核的人物の検挙、犯罪収益の剥奪など戦略的な取り締まりを推進する」などと繰り返し表明してきた。 黙秘しているとされる遠藤の背後にこそ、真の標的が潜んでいる。
「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年12月26日号