日本の食料自給率は公称の38%ではなく18%だという事実。政府が隠す、世界128位というあまりにも低い食料自給率の本当の計算方法
食料危機の未来年表 そして日本人が飢える日 #1
農林水産省の試算によると、我が国のカロリーベースの食料自給率は38%だという(令和4年度時点)。ただ、この数字は明らかに計算方法がおかしいそうだ。農学博士の高橋五郎氏によると、日本の食料自給率は実際には18%しかなく、かなり危機的状況だという。 【画像】遠い国の話ではない食糧危機
『食料危機の未来年表 そして日本人が飢える日』から一部抜粋・再構成して、日本の現実をお伝えする。
なぜ農水省の自給率は意味のない数字なのか
農水省によるいくつかの自給率を見てきたが、さまざまな疑問が残る。 そして、筆者が最も問題と思うのは、経口食料のみを用いて自給率の試算をしていることである。畜産物を飼育するためには飼料要求率に基づく大量の飼料(カロリー)が必要である。農水省方式は、たとえば牛肉を生産するために必要とした飼料は無視し、口を通じて消費した牛肉のカロリーを取り上げて、その自給率を計算する方式である。 牛肉100キロカロリーをつくるために要した飼料分のカロリーはいくら大量であっても無視されている。これは製造コストから燃料費を除外しているようなものだ。そして日本において畜産物の飼料はほぼ輸入なのである。 肉類や牛乳の生産に投じる飼料には、生産者個人や国によって大きな差がある。精魂込めて育てれば育てるほど、飼料の種類と量は増える。育て方が未熟の場合にも飼料の量は増える。飼養の効率が劣るからである。 A国は1キログラムの肉を生産するのに投じた飼料が5キログラム、B国では4キログラムだとして、できた肉1キログラム自体はA国もB国も同じ1キログラムに変わりなく、この1キログラムを食べた国民の摂取カロリーもまた、A国もB国も同じである。 本書は、ここに大きな問題があることを指摘したい。 自動車の燃費に例えると、同じ1キロメートルを走ったガソリン車についての関心事は、燃費にどんな差があるか、あるいはガソリン車で走ったのか、EV車で走ったのかという問題であり、1キロメートルを走ったかどうかではなく、その効率や環境への負荷の大きさがどうなのかが問われるのだ。