フィデリティ、中国株のポジションを再び拡大-政府の財政措置に期待
(ブルームバーグ): フィデリティ・インターナショナルのマネーマネジャー、ジョージ・エフスタソプロス氏は、財政刺激策が経済を支援するとの期待から中国株のポジションを再び増やしている。同氏は9月下旬の株価急伸の波にうまく乗っていた。
シンガポールに本拠を置くエフスタソプロス氏は約30億ドル(約4600億円)の資産を運用。最近の株式相場反発局面では香港経由のエクスポージャーから利益を得ていたが、先週になって中国本土上場の中型株に乗り換えた。同氏は今年、優良株で構成されるCSI300指数にパフォーマンスで後れを取るCSI500指数に注目している。
エフスタソプロス氏は先週のインタビューで、中国当局は「自国経済のまずまずの成長を確実なものにするために必要なことは何でもする見通しで、その能力もある」と指摘。本土株は地政学的な動きに「より影響されにくい」としたほか、中型株も追加刺激策から一段の恩恵を受けるはずだとの見方を示した。
こうした楽観的な見通しは、トランプ前米大統領の返り咲きと期待外れの財政政策を受けて中国株に対してより慎重な姿勢に転じたウォール街の一部ストラテジストとは対照的だ。景気循環を通じて中国の債券や株式に投資してきたエフスタソプロス氏は、中国政府にはトランプ氏が表明している関税引き上げが実際に行われた場合に打ち出す政策手段が十分にあると確信している。
中国株は今年に入り乱高下しており、CSI300指数は2月に5年ぶりの安値を付けたが、9月下旬には景気刺激策の発表を受け、わずか6営業日で32%上昇していた。
そうしたボラティリティーがエフスタソプロス氏にとってプラスに働いた。1月の下落局面における中国株買いで利益を得た同氏は、今夏に中国株のエクスポージャーをポートフォリオの4%程度まで引き上げていたが、9月に株価が急伸すると、その割合を1%に引き下げた。その後、中国本土の中型株を追加したことで、現在の保有率は「3-3.5%前後」に戻っている。