20年後を見据える大谷翔平のトレーニング論
オープン戦初出場でドジャース移籍後、第1号。2月27日、アリゾナ州グレンデールでのホワイトソックス戦、五回2死二塁の第3打席で大谷翔平投手(29)は、レフトフェンスを越える本塁打を放った。右肘の手術を受けリハビリ過程のため、DH一本で臨む。継続的なフィジカルの強化が、周囲を驚かせるパフォーマンスの発揮を可能にしている。
「トレーニングは一貫している。別に年単位で(取り組む内容を)変えるとかということではない。10年、20年のスパンで考えてやるものなので。今年は手術があったので、それに適したトレーニングはもちろんしますけど、全体的なフィジカルの強化は例年通りだと思います」
オープン戦後に行われた日米のメディアへの会見。大谷は、ノースリーブタイプのトレーニングウエア、そしてウエートトレーニング用のシューズを履いて現れた。
つまり、オープン戦で出場し、3打席を消化した後、筋力トレーニングに取り組むスケジュールをあらかじめ予定している、ということだ。栄養と睡眠時間の確保を含む休養、そして現役を通してプランニングされたフィジカルの強化。実直に取り組むことで投手と打者として、周囲を圧倒する成績を残すことができる。いうまでもないが、決して才能だけじゃない。
2月12日にはキャンプ2度目のフリー打撃。ここでもフィジカルの充実を口にしていた。
「最後の2、3スイングは(強度が)90(%)ちょっとぐらいの力加減で打っている。(打球速度などのデータの)数字もそのぐらいの数値ですし、むしろ(想定より)高いかな? ぐらいの感じなのでいい傾向。トレーニングの成果も出ているんじゃないかなとは思います」
1シーズンずつのテーマアップを決めて、トレーニングに取り組む選手もいれば、大谷の場合は「10年、20年のスパン」で考えていることを明かした。どちらかといえば、これだけ長期のプランニングは珍しいのではないだろうか。つまり日本ヘムのプロ入り当時、あるいは高校時代から、プロキャリア、そしてメジャーでのキャリアを通じてのトレーニング計画があるのだろう。世界一の野球選手になるために、大谷は華やかな活躍の裏で地道な努力を重ねている。
文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当
山田 結軌