スガキヤ「ラーメン+ソフトクリーム」が定番の訳 塩気のあるラーメンの後に食べたくなる仕掛け
スガキヤの甘味は、どこか懐かしく、舌を噛みそうなメニューもない。「甘味食堂」の基本を踏まえ、おしゃれ系に振らないのだ。 ■ソフトクリームはあっさり味仕立て スガキヤで「ラーメンとミニソフト」を注文したところ、店員さんから「ソフトクリームは後にしますか?」と聞かれた。ラーメン後にソフトを食べる人が多いのだろう。 マスコットキャラクター“スーちゃん”が右手にラーメン、左手にソフトクリームを持っているように、ラーメンとソフトは二大看板だ。
名古屋文化の影響が強い東海三県で育った40代以上の人は、子ども時代に「親に連れられて大型スーパーに行き、スガキヤの店で食べた」という経験を持つ人が多い。 昔も今も、スガキヤのソフトクリームは北海道旅行で食べるような濃厚な味ではない。 「ソフトクリームは動物性ではなく植物性油脂を使い、あっさりした味です。ラーメンの後を甘味でシメるというお客さまも多いです」(同社) あっさりした味なので「塩気のあるラーメンの後に食べたくなる」と言われてきた。中には同時に出してもらい、ラーメンとソフトを交互に食べる人、残り少なくなったラーメンスープにソフトを溶かした“味変”で食べる人もいる。ちなみに芸能人がテレビ番組のロケでスガキヤを訪問すると、よくこの2品が出てくる。
一緒に頼もうと思うのは、もちろん価格の安さも見逃せない。定番のラーメンとソフトを頼んでも600円台ですむからだ。「スイーツは別腹」という言葉ができるはるか前から、スガキヤでは“ラーメンの後に甘味”を楽しむのが定番だった。 ■名古屋の喫茶店の特徴 考えてみれば、「この金額でこれだけ食べられる」のは、名古屋の喫茶店が得意なモーニングサービスに近いだろう。当地の喫茶文化を象徴するサービスが“オトク”と“オマケ”。
朝の時間帯にコーヒーやドリンクを頼めば無料でついてくるモーニングはこの2つの要素を満たしている。オトクやオマケはみんな好きだが、特に名古屋人は大好きだ。 原材料や人件費など諸経費の高騰で「ラーメン一杯1000円時代」ともいわれるが、その価格ではラーメン後に甘味を楽しむ気分にはなれない。 スガキヤは時に「小腹が減ったとき」「おやつ感覚で楽しむ」とも言われるが、そうした店の特徴がラーメン+ソフトにつながっているのだろう。