保護司殺害の容疑者、居場所発覚を恐れ工作か 携帯電話持ち歩かず
大津市の民家で保護司の新庄博志さん（60）を殺害した容疑で逮捕された飯塚紘平容疑者（35）が事件発覚2日後、ナイフを隠し持っていた疑いで現行犯逮捕された際、携帯電話を持っていなかったことが捜査関係者への取材で明らかになった。この頃、行方が分からなくなっていたことも判明した。滋賀県警は携帯電話の位置情報から居場所の発覚を免れようとした可能性があるとみている。 【写真】殺害された保護司のつづった言葉 保護観察中の飯塚容疑者は新庄さんの自宅で5月24日夜以降、新庄さんの上半身を鋭利な刃物で何度も刺すなどして出血性ショックで死なせたとされる。「何もやっていないし、答えたくない」と容疑を否認しているという。 捜査関係者によると、事件は26日、新庄さんと連絡が取れないことを不審に思った親族が遺体を見つけて発覚した。飯塚容疑者は2日後、現場周辺でナイフを隠し持っていたとして銃刀法違反容疑で現行犯逮捕された。この時、携帯電話を持っていなかったことが判明した。 飯塚容疑者は新庄さんが死亡したとされる24日夜、定期的な面会で新庄さん宅を訪ねた後、行方が分からなくなっていたことも明らかになった。容疑者の母親は県警に対し、「24日に家を出てから戻ってこなかった」と説明しているという。県警は事件後に居場所を突き止められないよう意図的に携帯電話を持ち歩かなかった疑いがあるとみている。 飯塚容疑者は2019年にコンビニ強盗事件で懲役3年、保護観察付き執行猶予5年の判決が確定。保護観察期間中は新庄さんが一貫して担当保護司だった。新庄さんは自宅で月2回程度、飯塚容疑者と面会して生活指導や相談に乗るなどしていた。事件直前には4月11、25日、5月7日に面会していたことが確認されている。 大津保護観察所によると、飯塚容疑者は7月に保護観察期間が終了する予定だった。この5年間で新庄さんとのトラブルは把握していなかったという。県警は10日、飯塚容疑者を送検した。 一方、新庄さんは2年前、更生支援を担うNPO法人の相談員に対し、飯塚容疑者の就職先を紹介してほしいと依頼していたことが明らかになった。飯塚容疑者は仕事が長続きせず、就職先も見つからないことから「困っている」と話していたという。【菊池真由、飯塚りりん、中田敦子】
