ダルビッシュ有の母・郁代「あの子や、あの子!と指を指されて…」教室でも野球でも“ハーフ”と呼ばれ、人に気を許さなかった息子が徐々に心を開いた「1本の電話」
── その延長で、誰かにからかわれるとか、意地悪されるようなことはありましたか? 郁代さん:小学校4年生の頃かな。ちょっと周りから離されるというか、そんな状況はありました。友達と冗談を言うとか、周りとワイワイできたらよかったんですけどそうではないし、友達もどう接していいのか分からなかったかもしれません。 子どもの頃ってすごく残酷でもありますよね。たとえば人のことを「ブタ」とか、いろいろな形で言うじゃないですか。それがうちの子は「ハーフ」と言われて、周りからちょっと意地悪しようぜ、みたいな雰囲気になっていた時期はありましたね。
■有を招き入れてくれた人の存在 ── そうした意地悪をされたときに我慢をするのか。またはやり返すこともあったのでしょうか? 郁代さん:たとえば殴るとか目に見える意地悪だったら本人もやり返したかもしれないですけど、そうじゃなくて「あいつにだけ黙ってどこか行こうぜ」とか。やり返すことができない形でした。あとはみんなから「あのときお前はああだった、こうだった」と言われのない言葉を投げかけられるとか、自分の気持ちの持って行き場がないし、フラストレーションがものすごく溜まってる状態だったと思います。
そんなこともあってか、小学4年生のときに2回くらい、ある男の子をボコボコにしたことがあったんですね。なぜそんなことをしたのか分からないですけど、学校から有が友達に怪我をさせたという報告を受けました。私も仕事をしていたので、夜にはその子の家に謝りに行く予定でしたが、それより先に怪我をさせた子のお母さんから電話があったんです。 そのお母さんは自分の子どもが怪我をして帰ってきてるから「どうしたんや?」みたいに聞かれたと思うし、普通だったら文句を言ってくると思うんですよ。でも、そのお母さんが「今日学校でこういうことがあったと。お母さん(郁代さん)がどんな人かも分からないですけど、何か子ども(有)が抱えていることがあるんじゃないか。だから有くんの気持ちを聞いてやってほしい」って言ってくださったんですよ。
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