有村架純&坂口健太郎が考える“ラブストーリーの意義” 「これからも携わっていきたい」
■二人が考える“ラブストーリーの意義”は?
有村:坂口さんって声色が柔らかいじゃないですか。だから圧がなく、成瀬さんを演じる上での空気みたいなものが、すーっと体になじんでいっていて、生田さんが演じられた雄介とはまた別の柔軟剤のような存在になってたのかなと思いました。 坂口:さえ子っていろんな側面があると思うのですが、どこかにちゃんと芯があって、でも柔軟性もある…。それは架純ちゃんがいろんな役を演じられてきたからこそできたことなのかなと感じました。 ――先ほど、坂口さんがラブストーリーは難しいと言っていたことが印象的でした。それはなぜですか? 坂口:100人見たらきっと100人が経験してきた愛の持ち方があるだろうなって思うからです。そういう意味では、すごく怖い男の人の役や、サイコパシーを感じる役を演じる時の方が、経験してないからこそ、ちょっと飛ばして演じてみることができちゃうんですけど、ラブストーリーはそれができないんですよね。 ――有村さんは、昨今ラブストーリーでつらい目に遭う役が続いていますが、そこで意識されていることはありますか? 有村:描かれていない部分の方が多いので、どの役も余白の部分を想像して、シーンとシーンをつなげていくという作業を一番重要視しています。その中で、どうしても「ん?」って思うことがあれば、監督やプロデューサーさんに相談ベースで話をして、答えを導いていただいたり、新たな折衷案を一緒に考えていただいたりしています。自分の中で腑(ふ)に落ちれば、そのセリフをそのまま言うこともありますが、できるだけ、どんな役に対しても柔軟に話し合って作品に取り組むようにしています。ラブストーリーに限らずですけど。 ――お二人が今、改めて考えるラブストーリーの意義について教えてください。 坂口:やっぱり普遍的なものではあると思うし、言葉が通じなくても共通するものでもあると思います。国が違えば社会や法律が違うけれど、愛情は恋人同士という関係にとどまらず、共通認識として持っています。だからこそ、ラブストーリーはつむがれていくべきなのかなと思います。 あと僕自身、ラブストーリーというジャンルがとても好きです。台本を読む時にどこか愛情みたいなものが見える役にひかれてしまう。その愛の対象は、仕事でも、師弟関係みたいな関係でも、なんでもあると思うんですけど。 有村:私は愛情は、男女の関係だけでなく、家族や子どもといった人に触れた瞬間にそこに生まれるもので、人生全てがラブストーリーだと思っています。ラブストーリー以外のジャンルの作品にも、恋の要素があるのって、多くの人が共感できるポイントであり、感情移入できるからなのかなって。たしかに、ラブストーリーは難しいです。でも、相手を思うから怒ったり泣いたりするということは、改めて尊いことだなと思うので、これからも携わっていきたいです。 (取材・文:於ありさ 写真:松林満美) Netflixシリーズ「さよならのつづき」は、Netflixで世界独占配信中。