マイコプラズマ肺炎、過去10年で最多水準 福島県「インフル、コロナと併せて警戒を」
福島県内で、呼吸器感染症のマイコプラズマ肺炎が猛威を振るっている。ここ10年で最多の水準となっており、医薬品の品薄状態や学級閉鎖などにつながっている。冬季を迎え、インフルエンザも流行シーズンに突入。新型コロナウイルスと併せて三つの感染症に同時対策する必要があることから、医療や学校現場では警戒感を強めている。 「例年になく患者が多い」。県内でもマイコプラズマ肺炎患者数が高い水準となっている白河市の診療所「関医院」では、関元行医師(76)が患者の対応を続ける。同院の昨年やおととしの患者は年間で数人ほど。 しかし、今年は10月下旬ごろから夜も眠れないほどのせきを訴える患者が訪れており、週に数件単位で診断をする。 全国的に流行していることから、鎮咳剤(ちんがいざい)や抗菌剤など治療薬や検査キットは品薄状態。関さんは「注文した分の1~2割ほどしか届かない」と嘆く。 何とか所定量の医薬品を処方できているが、共通する治療薬を使うインフルエンザや新型コロナの患者が増えれば、別の医薬品で代用するしかなくなる可能性がある。 強ウイルスの新型コロナとインフルエンザが共存することはほぼないというが、マイコプラズマと同時感染する可能性はあるという。重要なのは基本的な感染対策だ。関さんは「換気や手洗い、うがいなど日常的な感染予防を徹底してほしい。新型コロナ対策を行っていた昨年ごろまで、感染症が全体的に抑えられたことが何よりの証拠だ」と訴える。 集団生活の機会が多い、学校現場。福島市教委によると、市内の小中学校でのマイコプラズマ肺炎感染は今月初旬にピークを迎え、現在は50人前後で推移する。同市の森合小では、マイコプラズマ肺炎や風邪の児童が増加したことを受け、今月7、8日に学級閉鎖した。 感染症の増加が懸念される今後は「体調の悪そうな児童を早めに帰らせるなど、児童の体調の変化を見逃さないように注視していく」としている。