藤井聡太竜王の八冠独占を崩した伊藤匠叡王、一夜明け「藤井さんを追いかけてここまで来られた」
将棋の第9期叡王戦五番勝負(不二家主催)を制し、藤井聡太竜王(21)(名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖)の八冠独占を崩した伊藤匠叡王(21)が、自身初のタイトル獲得から一夜明けた21日、対局地の甲府市で記者会見し、「たくさんの方からお祝いの連絡をいただいて、少しずつ喜びがこみ上げてきた」と晴れやかな表情で語った。 【写真】感想戦で対局を振り返る伊藤匠新叡王(20日午後)
「昨晩はなかなか寝付くことはできなかった」という伊藤叡王は午前9時過ぎ、スーツ姿で会見場に現れた。記念撮影では「孤高」と揮毫(きごう)した色紙を掲げた。「棋士になった頃からよく書いている。しっかりと信念を持って、ぶれずに高みを目指していく意味と解釈している」と説明した。
昨年の竜王戦と今年の棋王戦で挑戦者になったものの、いずれも藤井竜王にストレート負け。4月の叡王戦第2局で初勝利するまで、藤井竜王には引き分けに当たる持将棋1回を挟んで公式戦11連敗を喫していた。「叡王戦に挑戦する段階では、なかなかタイトル獲得に意識がいっていなかった。まずは熱戦をお見せできたらいいなという気持ちで臨んでいた」。盤上のみに集中する姿勢が、歴史的な勝利をもたらした。
20日の終局後の記者会見では、同学年の藤井竜王に対して「ずっと藤井さんを追いかけて、ここまで来られた。藤井さんがいなかったらタイトルも取れなかった」と感謝の言葉を述べ、「今後もタイトル戦で戦えるように頑張りたい」と決意を新たにしていた。