多数の冠番組や選挙特番に出演し、名実ともに絶対王者として君臨する池上。彼の牙城を崩すのは誰になるのか

日々放送されている報道番組やワイドショーに花を添えたり、盛り上げる役目を担うのが、独自の視点でニュースを斬るコメンテーターたちだ。 【極秘データ入手！】人気コメンテーターたちの「潜在視聴率」ランキング…！ かつては実績がある文化人が大半を占めていたが、近年は元アスリートや芸人もその席に座っている。様々なコメンテーターがいるなかで、本当に視聴者から必要とされている人物は誰なのか？　一つの指標となるのが、潜在視聴率だ。 「過去の視聴率データや視聴者への調査に基づき、出演者単体で稼ぎ出す視聴率を各テレビ局が予測して数値化したものが潜在視聴率です。テレビ局や広告代理店の限られた関係者のみが閲覧できる数字で、キャスティングの際にも参考にされています」（キー局プロデューサー） 今回、FRIDAYはある大手テレビ局が作成した、コメンテーターたちにとっての”成績表”ともいえるその極秘データの入手に成功。’23年６月から’24年６月までの１年間のデータを抽出し、FRIDAYが有名コメンテーター30人の潜在視聴率ランキングを独自に作成した。彼らの本当の実力と人気度を、順を追って見ていこう。 ◆１位はやっぱり…… 潜在視聴率5.5％で堂々の１位に輝いたのが、日本を代表するコメンテーターの池上彰（73）だ。放送作家の山田美保子氏が分析する。 「いちコメンテーターに留まらず、自身の冠番組を複数持っていることで、視聴者から厚い信頼を得ている。その結果が、今回の数字にも反映されたのでしょう。池上さんは下調べを入念にしたうえで、非常に長い時間をかけて打ち合わせをするそうです。番組で政治や経済に詳しくない出演者がいれば、その人に合わせて丁寧に解説してくれる。博識なのに上から目線ではなく、誠実だからこそあらゆる世代から受け入れられているのです。だからこそ、コア層（13～49歳の男女）の潜在視聴率でも４位と、若者からも支持されているのでしょう」 その池上に0.1ポイント差で迫るのが、カズレーザー（40）だ。 「芸人としての露出も多いことで数字が上がっている部分はあると思いますが、それでも納得の順位です。視聴者と同じ目線で考える姿勢が特徴で、『理想の上司』アンケートで上位に入るなど、若者からの支持が厚い。実際、コア層の視聴率では１位を獲得しています。赤い服と金髪という見た目で敬遠しているシニア層も多いと思うので、そこさえクリアすれば池上を超えて１位になる可能性もある」（情報番組ディレクター） 弁護士で大阪府知事や大阪市長を歴任した橋下徹（55）は、３位にランクイン。 「炎上を恐れて無難なことしか話さないコメンテーターが増えている今、彼のような我が強い人物は貴重です。批判もされますが、一定数の支持も受けていて、それが数字に表れている。橋下と舌戦を繰り広げている玉川徹（60）が同率で３位に入っているのも、同じ理由からだと思います。安倍晋三元首相の国葬についての誤った発言で10日間の出勤停止処分を喰らいましたが、リスクを取ってでも鋭く切り込むコメンテーターを視聴者は求めています」（制作会社スタッフ） テレビで見かけない日がないほどタレント活動が順調なアンミカ（52）は、コメンテーターとしても５位と大健闘だ。 「アンミカは出演していた『バイキングＭＯＲＥ』（フジテレビ系）で不倫を生謝罪した有村昆を〝公開説教〟したことで、コメンテーターとしての地位を確立させた。今は『ＤａｙＤａｙ．』（日本テレビ系）や『ミヤネ屋』（日テレ系）など、看板番組で起用されています。白黒はっきりモノを言う姿勢が、女性の視聴者から好評なんです。画面上では率直に話しているように見えるが、実は意外と戦略家な一面もある。自分が自分がと先陣を切らず、他の誰かが喋るのを待ってそれを踏まえたコメントをするのが彼女の得意技なんです」（前出・キー局プロデューサー） 柔らかい物言いが特徴の”尾木ママ”こと尾木直樹（77）は10位に食い込んだ。 「どんなニュースにもバランスのとれたコメントができるのはさすがの一言。74歳の時に『ＴｉｋＴｏｋ』を始めたりと、現代の子どもに寄り添うために情報をアップデートし続けている姿勢には頭が下がります。彼の誰も傷つけないコメントは、親子で見る番組に最適だと言えるでしょう」（同前） ◆異色のひとたち 多くが豊富な知識や専門分野を強みにするなか、独自の武器で勝負を続ける人物もいる。７位の長嶋一茂（58）と15位の杉村太蔵（44）だ。テレビ解説者の木村隆志氏が語る。 「この二人は、”良いコメントを期待されていない”稀有な存在。全員が舌鋒鋭くてはメリハリがなく、番組は成立しない。フワッとしたコメントで視聴者がホッコリできる彼らのような、気楽に見れる存在も必要なんです。特に太蔵さんは、知らないフリをして専門家に話を振って、それが裏回しとして機能している。情報番組でこの立ち回りができる人は希少です。視聴者からも愛されているので、ずっと起用され続けているのでしょう」 変わり種のコメンテーターといえば、インターネット界の寵児として登場し、今回は12位にランクインしたひろゆき（47）もその一人。 「失言を捉え、揚げ足を取る論破戦法に批判が集まる一方、若い世代からは、『信頼できるインフルエンサー』だと高い支持を得ている。しかし、実際の彼はネットやデジタルの話題はある程度コメントできるが、特に専門性はない。エンタメ色が強く、上手くイジってくれる『サンデージャポン』（ＴＢＳ系）のような番組と相性が良いのでしょう。 むしろ、デジタル分野での専門性や権威性が高いのは落合陽一（36）です。今年３月まで『ｎｅｗｓ ｚｅｒｏ』（日テレ系）に出演していましたが、デジタル分野に関するコメントで右に出るものはいなかった。ただ、服装や話し方が独特で、視聴者から『Ｔシャツがだらしない』と苦情が来ることもありました。コメントは非常に的確ですが、見た目や話し方のマイナス面が響き、22位と伸び悩んだのかもしれません」（日テレ関係者） ◆低迷する辛口評論家 かつてテレビに出ずっぱりだった大御所が、意外にも下位に沈んでいるケースもある。’00年代に活躍していた辛坊治郎（68）とやくみつる（65）は、それぞれ24位、25位という結果になった。 「やくが活躍していた当時は、毒舌コメンテーターの全盛期。亀田３兄弟の父親である史郎の教育法を批判し、生放送中にガチ喧嘩する彼のスタイルが受けた。ただ、令和では毒舌は悪口、イジメと捉えられてしまう。視聴者から受け入れられず、起用される回数が減った結果だと思います。辛坊も同様。ただ知識は確かで話は面白いので、彼は地元の関西圏では人気があります」（キー局編成担当者） 気鋭の国際政治学者として名を馳せていた三浦瑠麗（43）は、23位に低迷した。 「元夫が業務上横領罪で逮捕されて以降、地上波の露出が激減したのが響いている。ようやく最近、表舞台に復帰しつつありますが、コメントの鋭さが鈍っている印象がありますね。騒動前なら10位以内に入っていたでしょうが、このままでは下がり続ける一方でしょう」（前出・キー局プロデューサー） 視聴者のニーズに応えられているかどうか。それは潜在視聴率が教えてくれるのである。 『FRIDAY』2024年7月19日号より