古田新太「お客さんはもっと上をいっている」演技をする際に意識“していない”こと
近年の主演作で言うと、映画『空白』やドラマ『俺のスカート、どこ行った?』など、重厚感のある難役からコメディまで、幅広い作品で独特な存在感を放つ古田新太(58)。今年で役者歴40年を迎え、先日は『第45回 松尾芸能賞』の優秀賞を受賞するなど一見、順風満帆にみえるが、ここまでの道のりに不安や迷いはなかったのだろうか。役者を志したきっかけやこれまでの道のり、「脇役でいい」と思った出会いなど、自身にとっての変化「THE CHANGE」を聞いた。【第4回/全5回】 ■【画像】美しい!古田新太さんの舞台メイク後の姿■ 大学在学中に、先輩だった俳優の渡辺いっけいさんに誘われ、18歳のときに初めて参加した「劇団☆新感線」で今も看板役者として活躍する古田新太さん。 そんな古田さんが出演する劇団☆新感線の新作舞台、いのうえ歌舞伎『バサラオ』が7月7日の博多座(福岡)を皮切りに開幕する。脚本は座付き作家の中島かずき氏、演出はいのうえひでのり氏という名コンビのもと、新たに生まれる本作についてや、長年歩んできた劇団への思いを語ってもらった。 ――今回の脚本を読んだ感想は? 「“めんどくせぇなぁ”と思ったね。この間やった『天號星』は一対一の戦いなんだけど、 今回は戦争なんですよ。出演者もそんなにいないから、アクションアンサンブルダンサーの連中は舞台袖に引っ込んで着替えたら敵になって出てきて、やられてまた引っ込んで、今度は味方で出てくるみたいなことになる。 限られた人数で大戦争をしなきゃいけないから、袖の中がぐちゃぐちゃになるだろうし、そういうシーンがたった 2ページで終わっていて“どうすんだよ、中島!”と思いました」
「新感線がやっている作品は『少年ジャンプ』の世界」
――演じる「ゴノミカド」を今の時点でどう捉えていますか。 「帝になった人ですから、ある程度の力を持っているんでしょうけど、なんせうちの劇団の作品ですから。みんな頭が切れるとか、腕が立つと自分で言っている割には、頭の悪いやつしか出てこないんです。 今回は登場人物全員がわがままなんですよ。“ゴノミカド”はその中でも一番分かりやすく“わがまま”な人で、みんなは裏切ったりその裏をかいたりするんですけど、この“ゴノミカド”はほぼ裏表がない。わかりやすいわがままさんです」 ――公式サイトのコメントで、生田斗真さんが「新感線が描く悪には色気と妖しさがある」と仰っていましたが、今回演じるゴノミカドではその辺をどう意識していますか? 「そういうことを意識したことはないな。お客さんにそう見えればいい話なんで、俳優が企むことではないんです。本に書かれていることをそのままやればいいので、そこは俳優が考えるようなことではないと思っています。 それに、お客さんはもっと上をいっているから、こちらは余計なことを考えずにその字面をちゃんと伝えることだけをやればいいと思うんです。特に新感線がやっている作品は『少年ジャンプ』の世界ですから。“敵は敵、味方は味方”とわかりやすいんです。だから観客も、結局最後には“ルフィ”とか“桜木花道”を応援するようになる。そんな風にわかりやすくやればいいと思います」