中古車販売大手のビッグモーターが保険金を不正に請求していた問題で、会社が日本テレビの取材に回答しました。現場作業員からの告発について“誇張されたものにすぎない”と認識していたと明かしました。 　　　◇ ビッグモーター元幹部　中野優作氏（19日） 「利益至上主義になる傾向があったので。ちゃんと調査して情報開示して謝ってほしい」 不正が発覚した「ビッグモーター」の元幹部で、中古車販売の会社を経営する中野さんが19日午後に取材に応じ、会社の内情を明かしました。 ビッグモーター元幹部　中野優作氏 「見せしめにみえるような人事異動が頻繁にあったみたいなので。ちょっとしたごまかしがうそになり、思い切り不正と言われるようになって、誰も止まれなくなって進んだんじゃないかな」 全国に店舗を構え、販売から整備、修理まで行う中古車販売大手「ビッグモーター」。そのウラで行われていたのが“保険金の不正請求”です。 ビッグモーターは修理依頼できた車を預かると、車体にわざと傷をつけるなどして不必要な修理を行い、修理費用を水増し。損害保険会社に不正に保険金を請求していたというのです。 調査委員会が作成した40ページ以上に及ぶ報告書には、その手口が記されていました。「車を傷つける行為」では、工具のドライバーで車体をひっかいたり、ロウソクや紙やすりでこすったような痕跡をつけたり。また、実際にはない傷が存在するかのようにみえる写真を撮影することもあったといいます。 少なくとも1275件、約4995万円を水増しして請求していたということです。 自家用車を持つ人 「（修理から）戻ってきても、そんなことが知らないところで起きてたら気持ち悪い。利用されてる感じ」 自家用車を持つ人 「心情的に許せないよね」 報告書によると、社員へ行ったアンケートで約3割が“不正な作業に関与した”と回答しています。不正はなぜ行われたのか。報告書では、不正に関わったとする社員のうち、約6割が「上司からの指示だった」と回答しています。 ビッグモーターでは、修理費用の目標値を車1台、14万円前後に設定しています。達成できないと厳しく追及されるため、プレッシャーに耐えかねた修理工場の工場長らを中心に不正が広がったといいます。 ビッグモーター元幹部　中野優作氏 「事故で入ってきた車そのものを直すだけ。そこに目標があるのは不自然。これでやっと正常化されるんだろうな」 報告書では、去年1月に社長や副社長へ内部告発があったとされていますが、実態調査が行われることはなかったということです。 水増し請求を受けた損保大手3社は、払いすぎた保険金の返還を請求する方針です。損保大手の関係者は「保険上で不利益が生じているようなお客さまは、過去にさかのぼり訂正などの対応を検討します」としています。 ビッグモーターは保険金の不正請求問題について、19日に日本テレビの取材に対し「告発については誇張されたものにすぎないだろうという先入観を持っていたため、十分な対応ができていなかった」と回答しました。 また、兼重社長は「組織風土改革をはじめとする再発防止に全力で取り組んでまいります」とコメントしています。