【大学受験】総合型選抜、100日あれば合格できる? 専門塾が教える「戦略」とは
低倍率学部・学科で勝負するのも手
では、もう一つのポイントとは何でしょうか。 「大学卒業後の就職を一つのゴールと定めるなら、文系の場合、学部による差はほとんどありません。そのため、コスパよく入れる学部・学科を選ぶのも、一つの策です。例えば、上智大学のポルトガル語学科やイスパニア語学科などは、学校推薦型選抜の倍率が1.0倍を切っています。大学の知名度は高く、語学は就活の大きな武器になるので、出口の選択肢は広くなります」 倍率以外で合格の可能性を上げるには、小論文やレポート、面接などがメインとなる総合型選抜や学校推薦型選抜を選ぶことです。これらは塾などを活用することで短期間でのレベルアップが期待でき、短期間での逆転合格が可能になります。逆に避けたほうがいいのは、評定平均や英検などの要件が高いものや、自身が行っていない課外活動の実績を重視するもの。言わずもがなですが、これらは短期間ではどうにもならないからです。 理系学部の場合も同様で、それまでに取り組んだ実験の結果や、数学・物理オリンピックへの出場経験など、基礎に加えて専門性や過去の実績がより求められる大学・学部は、100日程度では対策が難しくなるようです。とはいえ、そこまでの実績を求めない大学も多くあるのも事実です。そういった大学の場合は数学・物理・化学などの筆記試験を課すことが多いため、もともと理数系の科目が得意な子であれば100日で十分に合格を狙うことが可能です。 「ただし、文系・理系を問わず、大切なのは大学や学部がどんな学生を求めているかを知ることです。過去の出題内容を調べるだけでなく、どんな受験生が合格しているかを知り、求められる人物像を想像することが大事です。これは、就職活動における企業研究と同じですね。総合型選抜にはたいてい面接もあるので、コミュニケーション力の有無も影響します。これも就活とよく似ています」
「二兎を追う者は一兎をも得ず」
竹内さんが親に対して「絶対にやめてほしい悪手」と言うのは、「総合型選抜がダメだったら一般選抜も」と、通常の受験勉強を並行させることです。 「これをやってしまいがちなのは、一般選抜の模試の合格可能性がD判定以下の受験生の家庭です。『一般選抜では難しそう』と考えて総合型選抜への挑戦を決めたはずなのに、その準備に集中せず、子どもに一般選抜の受験勉強も強いてしまう。覚悟を決めて方法を絞らないと、どちらも失敗することになりかねません。『二兎を追う者は一兎をも得ず』です。もし総合型選抜で落ちてしまった時のことを考えるなら、一般選抜でなく、11月からの公募制推薦(学校推薦型選抜の一つ)をおすすめします。総合型選抜と同じ試験形式の大学が多いため、ほぼ同じ対策で挑むことができますよ」 一般選抜が当たり前だった時代に、日々の勉強を積み重ねて受験した保護者世代は、子どもにも「今の努力」を求めてしまいがちです。しかし、総合型選抜で重要なのは「これまでの実績」を大学に見せることです。 総合型選抜で合格するのは、大学が求める評定平均を満たしたうえで、プラスアルファの力や意欲、学問への情熱がある受験生です。竹内さんは「合格した生徒たちを見ると、上位大学では、より優秀な人材が選抜される結果になっています。『あわよくば』とか『一発逆転』は難しく、選考プロセスとしてはとてもよく機能している入試だと思います。だからこそ、戦略が重要なのです」と話します。合格のための戦略には、子どもの特性や実力、やってきたことを見極めたうえでの志望校選びも大切です。 「総合型選抜は、背伸びしなければきちんと評価される方式でもあります。自分の得意分野や経験が生かせる大学・学部を戦略的に選び、相手を研究することで、受かるべくして受かるのです。そう考えれば、100日での挑戦も十分に間に合うものだと言えるでしょう」
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