千鳥・大悟が「こんなにいじりやすいアナウンサーは他にいない」 ABEMA西澤由夏アナが会話で大切にしていること
■千鳥・大悟から「いじりにくいんやもん」 こういったことは、最初からできていたわけではもちろんありません。私が最も長く担当している番組は、千鳥のお二人との「チャンスの時間」。もう7年目になりますが、担当し始めの頃、冗談まじりではありますが、大悟さんにこう言われたんです。 「だって、いじりにくいんやもん」 まだ右も左もわからない時期。今から思うと、バラエティーもスポーツも全部「同じ自分」で臨んでいました。大悟さんの言葉で、「同じ自分」では通用しないんだと、はっと気づかされました。そこからいろいろと考えるようになりましたね。 ■「アナウンサーもどき」発言の真意 その数年後、千鳥さんと一緒に受けた取材の席で、大悟さんが記者の方に私のことを「いま、こんないじりやすいアナウンサーって他にはいないから、そこを伸ばしてほしい」とおっしゃって。大悟さんは私に「いじりにくい」と言ったこと、覚えていなかったと思います。でも私は、何か少しは変われたのかな、やっとバラエティーのアナウンサーとして戦えるようになったのかなと、すごく嬉しかったのを覚えています。 相方のノブさんにも感謝していることがあります。番組中にノブさんが私のことを「アナウンサーもどき」と言ったことがあったんです。そのシーンは話題になり、そこから視聴者の方の私への反応も変わってきたし、私も自分をさらけ出せるきっかけになった出来事でした。 でも後に、ノブさんから「(もどき発言は)俺らが西澤ちゃんをいじることによって、視聴者の方が西澤ちゃんを応援してくれる環境を作るためだった」と聞いたんです。 変わろうとしても、自分だけではなかなか変われないところもある。でも、そこを変わらせてくれた。いや、ノブさんの存在と大悟さんの言葉がなければ、たぶん私は自分が変わろうとも思えてなかった。そこは本当に、私は恵まれているなと思います。 千鳥さんに限らず、芸人さんからは学ぶことが多いです。 私はもともと、新しい環境になじんだり、人に心を開くのにすごく時間がかかるタイプなんです。そんな私でも、芸人さんはトークの達人なので、そう思わせない環境を作ってくださるんです。芸人さんのいる現場だと、いつも安心します。はたまた芸人さんがいない現場に行ったときには、あらためて難しさを感じたり。その存在の大きさは、芸人さんがいない現場でつくづく感じますね。 ■「伝える」部分で成長したい 経験を積んでできることも増えた一方で、「日々反省」という毎日でもあります。ちょっとアナウンサーらしからぬ発言なのですが、ニュースなどの「生モノ」を担当している中で、「その場その場の対応」というのが私、いちばん苦手なところなんです。 緊急ニュースが入ってきたり、内容が30秒前に変わったり、ニュースが始まってから新たな原稿が届いたり。 先輩アナウンサーの話を聞くと、そういった緊急対応のときに「どう料理するか」が楽しいんだよ、とおっしゃったりするのでびっくり仰天。無理無理無理無理!と。「伝える」という部分で「成長しなきゃ」と感じているのはその点ですかね。いつできるようになるかわからないですけど(笑)。 いかに聞き、いかに話すか。皆さんも悩むことが多いと思います。たとえば目上の人との2時間の会食。自分が苦手な話題も出たり、萎縮することもあるでしょう。そんなときお勧めなのが、「隠し玉」です。たとえば、相手について「直近のプライベートでここに行っていた」「最近、これにハマってるらしい」という情報を何か一つ、こっそり仕入れて持っておくんです。 サイバーエージェントに入社した頃、新卒社員が人事の役員の方と話す機会がありました。最後に「何か質問は」と定番の呼びかけがあったとき、他の皆は業務関連の質問をしていましたが、私はあえて、「化粧水、何使ってますか」と聞いたんです。 役員に何聞いてるんだ、という話ですけど(笑)、役員の方も思ってもみない角度からの質問に笑ってくれて、堅かった場もなごみました。あくまでも「相手の話」で盛り上げつつ、会話を自分のフィールドに持っていく。そのためには「『隠し玉』を一つだけ、持っておく」。これも会話が円滑にうまくいくコツだと思います。会話に苦手意識がある人はぜひ試してみてください。 (編集部・小長光哲郎) ※AERA 2024年12月2日号
小長光哲郎