リンゴ1個が約800円、子どもの塾代は月11万円…物価上昇の韓国 現地人が悲鳴を上げるリアルとは
韓流ドラマにK-POP、グルメや美容にショッピング……。日本人にとって身近な海外旅行先として韓国が選ばれるのは、飛行機で2~3時間のうえ、時差がないことも理由のひとつかもしれません。昨年5月に新型コロナが5類に移行してからは、より旅行マインドもアップしているでしょう。そんな韓国は今、どうなっているのでしょうか? 現地在住の韓国の方に、リアルな生活状況を聞きました。 【動画】日本生まれの韓国人YouTuberヨンヘさんが実食 最新韓国グルメトップ10 ◇ ◇ ◇
欧米や日本だけではなく、韓国でもインフレ中
ゴールデンウィークに向け、韓国への旅行計画を練っている人はたくさんいることでしょう。 日本政府観光局と韓国観光公社によると、2023年の日本人の海外渡航者数は約962万人で、そのうち約232万人が韓国を訪れています。訪韓観光客のトップは日本人で、約21%を占めているそうです。 3月22日現在のレートで1ウォンは0.113円。1000円は約8800ウォンです。急激な円安が進むなか、対ウォンならまだなんとかなりそうな為替レートといえるかもしれません。日本や欧米ではすさまじいインフレも伝えられていますが、韓国はどうなのでしょうか。 50代の金志垠(キム・ジウン)さんは、ソウルから南に約35キロメートルのスウォン在住。「観光に来たみなさんは、まだそれほど驚くようなインフレは感じないかもしれません」というのですが、生活者には厳しい現実がたくさんあるそうです。
避けて通れないのが食費。「肉はまだそれほど価格が上がっているようには思わないのですが、びっくりしてしまうのは野菜や果物。もはやデンジャラスな領域ですよ」と苦笑いします。最近も「リンゴ(韓国産)を買おうとしたら、1個7000ウォン(約793円)というのを見て諦めました」といいます。 そのほかにも、電気代やガス代は「今年に入って急速に上がりました。20%から30%上がっている実感」があるそうです。
住宅費もインフレ アパートメントの管理費は今年から倍に
一方、住宅問題も気になるところ。韓国にも分譲はありますが、賃貸物件には「チョンセ」と呼ばれる独特のシステムがあります。最初に一定程度の保証金を大家に預け、たいていは2年契約の終了時に全額が戻ってくるというもの。日本のように毎月支払う「ウォルセ」という仕組みもあるものの、賃貸価格の高いソウルなどではチョンセが多いそうです。 なぜそんなシステムが成り立つのかというと、大家が保証金を運用することで利益を出すから。日本はマイナス金利政策が解除されたばかりですが、韓国は銀行の金利が3.5%程度と高いために成立するのだそうです。 近年は賃貸人に返還できずに問題化する事例もあるようですが、このシステムなら、建物を維持管理するための管理費は別途払う必要はあるものの、事実上は賃料無料で暮らせます。金さんも、日本円で約3500万円を保証金として預け、アパートメントに住んでいます。ところが……。 「13万ウォン(約1万4700円)ほどだった管理費が、今年に入って倍になりました」とため息をつきます。物価高がじわじわと迫ってきていることを実感しているそうです。