まだ乗ってる人が沢山いるのになんでパーツを作らない? 旧車乗りが常に「パーツ不足」に苦しむワケ
●サプライヤーの理解(共感)や協力が必要不可欠
1台のクルマを生産し、ユーザーに届ける場合、自動車メーカーの力だけではどうにもなりません。各分野のスペシャリストであるサプライヤーの理解と協力が必要不可欠です。しかも、大量生産される新型車ではなく、とうの昔に作られたクルマのパーツを再生産する……。それもビジネスとして。さらにはこのプロジェクトを成功・継続するための「人・モノ・金」を投入しなければなりません。 再生産するとしても、メーカーやサプライヤーが二の足を踏むモデルやパーツも少なからず存在します。大企業ですら躊躇する行為をいち専門店が行うとしたら、とてつもない設備投資、そして相当な覚悟が必要です。「やりたいのはやまやまだけど、銀行にいくら借り入れすればいいんだ?」というくらいの清水ダイブです。「ハイリスク&ローリターン」になる可能性も十分にあります。 どうにかこうにか再生産にこぎつけたとしてもユーザー、ましてやマニアの評価は残酷です。「オリジナルと質感や素材が違う」「高い」「ほしいパーツが再生産されない」「自分のクルマのパーツはいつ再生産してくれるのか」といったユーザーからの叫びがSNSなどで飛び交います。それはそれでユーザ目線において当然の要求であり、そういったシビアな声がなければ、絶版車の再生産を声高に宣言することはなかったはずです。 それぞれに思うところが多々あるかもしれません。しかし、自動車メーカーやサプライヤー、あるいは各専門店が「心意気で行っている取り組み」という視点で捉えると、まったく受け止め方が変わってくるはずです。
松村 透