尾上右近&中村壱太郎、来年1月歌舞伎座で「二人椀久」 自主公演「研の會」以来7年ぶり「究極に美しい舞台を…」
歌舞伎俳優の尾上右近、中村壱太郎が13日、都内で歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」(来年1月2~26日)の夜の部「二人椀久(ににんわんきゅう)」の取材会に出席した。 登場する椀屋久兵衛は江戸時代に実在した椀屋久右衛門という大阪の豪商がモデルで、新町の傾城(遊女)の松山太夫に入れあげ、豆まきの代わりに一歩金をまいて歩くなど放蕩(ほうとう)の限りを尽くし、憂慮した周囲の人たちによって座敷牢に押し込められた末、水死したと伝えられている。これを題材にした歌舞伎舞踊で、久兵衛を右近、松山太夫を壱太郎が勤める。 2人が勤めるのは、2018年に行われた右近の自主公演「研の會」以来、7年ぶり。歌舞伎座では初となる。右近は「2人とも熱量が高い。自主公演でやった演目を歌舞伎座の正月公演でできることがうれしい。生命感にあふれる『二人椀久』をお見せしたい」と語り、壱太郎も「究極に美しい舞台にすることがテーマ。とてつもなくシンプルに、舞台には松と月(の背景)と僕らしかいない。少ないパーツで究極の美を追求する。研ぎ澄まされた、そぎ落とされた感じ」と意気込んでいる。 30代の役者が歌舞伎座で大役を勤めることに対する思いを熱く語った。右近は「非常に貪欲に果てしなく自分が発展していくことが歌舞伎のためになる。感謝を忘れず、大役をやることが当たり前になることが大事。“当たり前感”がないといけない。後輩たちに夢を見させていく存在にならないといけない」と意欲的。壱太郎も「(大役をやるのが)当たり前ですよと言いたい。感謝を忘れないことが大事」とうなずいた。 来年1月は2人とも「二人椀久」以外の演目にも出演する。右近は昼の部「寿曽我対面」で小林朝比奈、夜の部「大富豪同心」で銀八、壱太郎は昼の部「陰陽師 鉄輪」で徳子姫、夜の部「大富豪同心」で美鈴を演じる。
報知新聞社