アメリカ第3の政党、リバタリアン党候補に聞く「麻薬合法化、NATO離脱、ガザはジェノサイド」
バイデンの撤退で、対決はハリス対トランプへ...? ミレニアル・Z世代を票田に巻き起こす波乱。第3の候補、チェイス・オリバーに独占取材
今回の米大統領選で個人の自由を尊重する第3政党リバタリアン党の指名候補となったチェイス・オリバー。【ジェイソン・レモン】 【動画】本誌チェイス・オリバーへのインタビュー 勝算は低いかもしれないが、本人は共和党のドナルド・トランプ前大統領や民主党のジョー・バイデン現大統領に対して大きな強みが1つあると自負している──年齢だ。 テネシー州生まれのオリバーは現在38歳で、年齢はトランプ(78)やバイデン(81)の半分足らず。ロバート・ケネディJr.(70)やジル・スタイン(74)、コーネル・ウエスト(71)など同じく第3政党の他の候補者と比べても何十歳も若い。 オリバー陣営はこの若さを武器にミレニアル世代やZ世代の若者の支持を獲得したい構えだ。「今こそ私たちの世代が立ち上がるべきだ」とオリバーは本誌による独占インタビューで語った。 オリバーは個人の自由の最大化と政府の不介入を訴える。麻薬は合法化し、国民はどんな治療を受けるか医師と相談して決める「体の自己決定権」を有し、銃を所持する権利は「不可侵」だと主張。 アメリカはNATOを離脱して海外に駐留する米軍部隊を引き揚げ、「ジェノサイド(集団虐殺)」を行っている(と彼が主張する)イスラエルなど外国への軍事援助もやめるべきだという。 本誌ジェイソン・レモンが話を聞いた。以下はその要約。
銃が好きで税は嫌い、自由市場が好き
──まだあなたをよく知らないアメリカ人が多い。簡単に自己紹介を。 チェイス・オリバー、38歳。11月5日の大統領選の投票日は39歳、トランプの年齢の半分だ。ジョージア州アトランタ在住。 反戦運動家からスタート、刑事司法改革を提唱し、投票アクセス(独立系候補が投票用紙に名前を載せるためのプロセス)の問題などを一貫して訴えてきた。 仕事は外食業界で皿洗いから始めて13年間キャリアを積んだ後、物流業界で長いこと国際物流に携わった。その後、人事の仕事も少々かじった。 ──以前はバラク・オバマ大統領を支持し民主党員を自認していたはずだが、なぜ離党したのか。 イラク戦争に対する反戦運動をやっていた頃、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領は共和党で、私は共和党と民主党以外の政党は知らなかったから、じゃあ自分は民主党だ、と。銃が好きで税は嫌い、自由市場が好きな民主党員だったが。 2008年の大統領選で民主党は反戦を掲げるオバマを候補者に指名。だがオバマは大統領に選出されるとキューバのグアンタナモ米海軍基地の閉鎖や各国指導者との無条件対話、戦争終結といった公約を撤回した。 それで私は民主党を去り、銃や自由市場を支持し、総じて「自分は自分、人は人」という立場なので、リバタリアン党にたどり着いた。