いつか必ず来る南海トラフ巨大地震 歴史から考える“一部割れる場合”と“全部割れる場合” 暮らしの防災
発生確率が0.4%に
東海地方の災害・防災を考える上で「南海トラフ巨大地震」は避けては通れません。「南海トラフ巨大地震はいつ来るのでしょうか?」と聞かれることがあります。それがわかれば、そのタイミングに向けて万全の準備ができるのですが、そうは行きません。 私は「いまの子どもの世代か、その子ども(孫)の世代が大人になるまでには必ず来ますよ。着実に備えを進めてください」と、答えています。 2024年8月8日、日向灘でM7.1の地震発生を受け、内閣府は初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表しました。 これは「南海トラフ巨大地震が発生する確率が少し高まったので注意しましょう。地震への備えを進めてください」という情報です。 「南海トラフではM8~9クラスの地震が今後30年以内に70~80%の確率で発生する」としていますが、今回のことで「これまで0.1%だった発生確率が、0.4%になった」ということなんです。 もう少し具体的に言うと、地震が起きたら「数百回に1回程度が大地震」ということ。その1回がいつかは分かりません。次かもしれないし数百回後かもしれません。 そんな「いつ起きてもおかしくない」状況は、いまも続いています。
南海トラフ巨大地震とは
「南海トラフ巨大地震」とは、太平洋のフィリピン海プレート(海側)がユーラシアプレート(大陸側)に沈み込む「プレート境界(境い目)」で発生する地震です。 最も大きい場合は、駿河湾から日向灘沖までの海底が一気に崩れてM9クラス、各地で震度7の激しい揺れ、太平洋岸に最大30m級の大津波が想定されています。 「南海トラフ巨大地震」は「阪神・淡路大震災の地震被害」+「東日本大震災の津波被害」とイメージしてほしいという専門家もいます。
約100~150年間隔
南海トラフでは概ね100~150年間隔で、大津波を伴う大地震が発生しています。歴史的にみて、南海トラフが一気に全部割れる場合と、部分ごとに時間差で割れる場合があり、その時々で違います。 史料や記録が残っている「安政地震(1854年)」では、始めに東海地震が発生し、その32時間後に南海地震が起きています。 前回は、昭和東南海地震(1944年)と、その2年後の昭和南海地震(1946年)です。 また、1701年の宝永地震では南海トラフ全体が一度に割れています。 よく「南海トラフは、全部割れるか、半分ずつ2時間後か2年後に割れる」と言うのは、こんな史実からです。