「配送が遅い」と消費者の23%が注文をやめる。高まるスピード配送ニーズ、一方でコスト増も。ラストワンマイルの課題にどう立ち向かう?
EC事業者が配送のスピードアップにこだわる理由
EC事業者は、速く届く配送が顧客にとって魅力的なことを理解していますが、それを実現するためのコストは大きな負担となる可能性があります。EC事業者はこのコストを追加で工面することと、スピーディーな配送による顧客満足度やロイヤルティアップといった潜在的なメリットとを天秤にかけ、ちょうど良いバランスを取ることに努めています。 EC事業者がスピード配送を自社のロジスティクスに組み込む主な理由は次の通りです。 ■ 顧客からの期待値に応える スピーディーな配送の提供は、顧客に商品が届くタイミングや、ブランディングが極めて重要となる特定の分野にとって不可欠です。 具体的には、ヘルスケアやパーソナルケア、生鮮品、イベント関連商品、ギフト、詰め合わせの定期購入品などのカテゴリーが該当します。これらのカテゴリーの商品を提供する事業者は、顧客のニーズに応えるために迅速な配送が求められます。 一例をあげると、高価格帯の商品を扱う業界では迅速な配送が大きなメリットをもたらします。宝飾品、デザイナーズファッションのアパレル商品、高級電子機器などの高額商品は、顧客満足度を維持し、ブランドの威信を維持するために、迅速に配送する必要があります。高価格帯の商品を購入する顧客は、「高い買い物をした」という購入体験の一環として、注文した商品が迅速に手元に届くことを期待しているからです。 スピードの速い配送は、顧客のこのような潜在ニーズに応え、ブランドへの信頼感に貢献するため、ひいては小売事業者の評価を高めることになります。 ■ 市場での優位性アップ スピーディーな配送は、消費者からのニーズに応えるだけでなく、競争の激しい市場において、ビジネスの差別化にも役立ちます。迅速に商品が届く配送メニューを提供することは、標準的なスピードの配送を上回る、優れたサービスを提供できることに直結し、他社との差別化を図ることができるからです。 配送のプレミアムサービスを設けることもその1つ。顧客ニーズを満たす企業の姿勢を示すことでブランドロイヤルティを育むことができます。さらに、顧客にリピート購入を促すことで、顧客体験が全体的に向上します。競争の激しい市況において、速く、確実に届く配送は大きな強みとなり、顧客体験向上によって企業が他社との優位性を図るのに役立ちます。