【甲子園】優勝旗を返還した慶應主将・加藤右悟 「日本一の主将」から「神宮の星」へ
大学で野球続行
【第106回全国高等学校野球選手権大会▼開会式】 帽子のひさしには「日本一の主将」とある。前年優勝校・慶應義塾高の主将・加藤右悟(3年)は開会式で、深紅の大優勝旗を返還した。昨夏は107年ぶり2度目の優勝。加藤は2年生外野手、強力打線の一人として、全国制覇に貢献した。 【選手データ】加藤右悟 プロフィール・寸評 昨秋の新チームから主将に就任。ポジションは中学時代から慣れ親しんだ捕手に戻った。激戦区・神奈川で勝ち続けるのは難しい。同秋は県大会準々決勝敗退、今夏は5回戦敗退と、再びチームとして甲子園の土を踏むことはできなかった。この1年間、主将・加藤は「前年優勝校」としての看板を背負ってきた。本人にしか分からない重圧と、ずっと向き合ってきた。部員全員で優勝旗を返還することを目標としてきたが、開会式は一人で入場行進。返還後はレプリカを受け取った。 「日本一の主将」は、前主将・大村昊澄(慶大1年)から書いてもらったという。 「優勝した年代で、大村さんはすごいキャプテン。1年やってみて、あらためて偉大さに気づきました。(全員で)来られなくて、悔しい気持ちもある。(神奈川代表の)東海大相模は1年時から知っている選手もいるので、素直に頑張ってほしいと思う。応援したいです。数千校の中で日本一になるのは大変なことですが、後輩たちには来年、日本一を目指してほしいです」 大役を終え、すでに視線は次へと向いている。 「そのまま慶應義塾大学に進んで野球を続けます。大学よりも上のステージを目指していますが、渡辺憩さんに勝たない限りは通用しない。越せるように頑張りたい。捕手というポジションにはこだわりがある。そこは変わらずに、やっていきたいと思います」 渡辺憩(慶大1年)は昨夏、慶應義塾高の不動の正捕手。慶大では入学直後の今春、東京六大学リーグで2本塁打と鮮烈デビューを飾った。捕手としても先発マスクをかぶり、早慶戦の大舞台ではアーチを放ち、躍動した。今秋はレギュラー争いに名乗りを上げている。 強打の捕手・加藤は甲子園に別れを告げ、来春以降は「神宮の星」を目指していく。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール