中国共産党、国防相経験者2人の党籍剥奪-汚職に関与と認定
(ブルームバーグ): 中国共産党は、汚職に関与したと認定した李尚福前国防相と魏鳳和元国防相の党籍を剥奪した。国防省と人民解放軍を揺るがした相次ぐ幹部摘発を経て、一連の粛正に終止符が打たれたとみられる。
国営中央テレビ(CCTV)によると、党中央政治局政治局は27日の会議で、国防省のトップを務めた李、魏両氏の処分を決定。2人は賄賂を受け取った上、捜査に協力しなかったとしている。
「巨額の金銭を受け取った」とされた魏氏は2018-23年に国防相を務め、その後任が李氏だった。李氏は昨年10月、就任からわずか7カ月で突然解任され、最も任期が短い国防相となった。
CCTVは李氏について、「党と軍の上級幹部としての本来の使命や党の原則を放棄した」と報じ、同氏の行動が「軍の装備分野の政治関与と、業界の道徳的規範を著しく汚した」と論じた。
党総書記の習近平国家主席率いる中国政府は、17年の調達案件を巡る汚職の調査を昨年夏に開始して以来、少なくとも16人の軍幹部を追放。このうち、魏氏を含む高官数人は、15年に刷新された核兵器やミサイルを運用する人民解放軍ロケット軍の関係者だ。
米国の情報専門家は今回の粛清について、増強している核兵器の管理し、台湾侵攻に重要な部署を含めて軍にまん延する汚職の発覚に対応したものだと指摘した。
中国国防省の呉謙報道官は27日の記者会見で、人民解放軍は最近、予算と資源、資産に対する監視を強化するために監査規則を改正したと述べた。
魏氏の処遇を巡っては、今年2月、最高指導部からあいさつを受けた退役幹部のリストから名前が消えたことが、臆測を呼んでいた。国営メディアによれば、魏氏は、李氏が他の人物が絡む汚職で告発された1カ月後の昨年9月、捜査対象となった。
李氏が排除されたことで、習氏がトップを務める軍の最高意思決定機関、党中央軍事委員会の李氏の席が空くとみられる。後任は、開催が大幅に遅れていた第20期中央委員会第3回総会(3中総会)で発表される可能性がある。3中総会は7月15-18日に開かれる。