元プロ野球選手・谷繁元信と青木翔コーチのゴルフ対談。5万人のスタジアムより"競技ゴルフ"で震えた!?
「朝9時から午後3時まで練習場なんてときもあったかな(笑)」(谷繁)
20年以上前の野球の試合のことも、聞けば昨日のことのようにディテールまで話す谷繁。1年前のゴルフロケの内容も朝飯前。「あのパー5で、僕が大畑さんに言ったじゃん」と1年前のささやきの内容も完全記憶。果たしてこれはキャッチャー気質なのか? 青木 ちなみに野球で一番緊張したのはいつでしたか? 谷繁 98年にベイスターズが甲子園で優勝を決めた試合ですね。同点で9回2アウトランナー2塁。で、僕に打席が回ってきた。ここで1点取って裏を佐々木(主浩)さんが抑えれば優勝が決まるというシチュエーション。打席に入っても、緊張でバットが出ないんです。結局、デッドボールで歩かされて、内心「この場から逃げられた」とホッとしながら、でもそんなそぶりはまったく見せずに一塁に歩いて、次のバッターの進藤(達哉)さんに檄を飛ばしました(笑)。野球で一番緊張したのはあの時かな。 青木 聞いているだけでこっちも緊張してきました。それにしても細かく覚えていらっしゃるものですね。 谷繁 それは、ベイスターズでバッテリーコーチだった大矢明彦さんの教えもあるかな。「1試合の配球をスコアブックを見ずに言えるようになりなさい」と言われたんです。最初は「無理だ」と思っていたのが、優勝したこの頃には、何も見ずに120~135が言えるようになっていました。訓練ですね。するとリードにバリエーションが出て、投手と打者に応じて「打者の弱点を突く」「投手の長所を引き出す」を、その日の状況を見ながら併用できるようになっていきました。応用力がついてきたんです。ゴルフではまだ、その応用力という次元までは行きついていない気がします。 青木 それに気付いている時点で実はすごい……。練習もかなりされてきたでしょう? 谷繁 朝9時から午後3時まで練習場なんてときもあったかな(笑)。 青木 そう、谷繁さんレベルのアスリートが「練習をした」って言うと、それはわれわれの想像を絶する量と質なんです。