坂東龍汰を自閉スペクトラム症の子の親が絶賛。『ライオンの隠れ家』松本Pが語る、役づくりの裏側
柳楽優弥主演×若手注目株の坂東龍汰出演のTBS金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』。放送開始以来、キャスティングや俳優陣の演技の素晴らしさを絶賛する声が後を立たない。 【写真】視聴者が絶賛した、坂東龍汰の名演技 特に注目を集めているのが、自閉スペクトラム症(ASD)の青年・美路人(みちと)を演じる坂東さんの演技のリアルさだ。表情や細かな目の動き、仕草など、その表現の緻密さにASDの子を持つ親たちからも驚きの声が上がっている。 本作の企画者でプロデューサーも務めるのは、TBS火曜ドラマのヒット作『私の家政夫ナギサさん』の企画も手掛けた松本友香さん。FRaU webでは、松本さんへのインタビューを前・中・後編でお届けする。 前編となる本記事では、美路人という難役に坂東さんを起用した理由と、いまのドラマの中でASDを描くうえで心がけたことについて聞いた。 【あらすじ】 市役所で働く平凡で真面目な優しい主人公・小森洸人(ひろと/柳楽)は、自閉症スペクトラム症の弟・美路人(みちと/坂東)と二人暮らし。朝は弟と決まった時間に家を出て、退勤後も弟と決まった時間に帰り、常に弟の歩幅に合わせて平穏な日常を懸命に守ってきた。ところが、ある日、「ライオン」を名乗る少年(佐藤大空)がやって来たことで、ある事件に巻き込まれていく。
坂東龍汰を起用した決め手は「信頼」
――坂東龍汰さんはもともと良い役者さんだとは思っていましたが、ここまでとは。本作で彼の演技力に驚いた視聴者の方々は多かったと思います。坂東さんとはこれまでも何度かお仕事されていたんですよね。 松本P:はい。最初に坂東さんを知ったのは、『閉鎖病棟―それぞれの朝―』(2019年)という映画と、ドラマ『ストロベリーナイト・サーガ』(2019年)の1話でのゲスト出演でした。すごく魅力的なホクロを持った、横顔が綺麗な方だなと思いました。重岡大毅さんと良いコンビに見せておいて、後に裏切る、みたいな役もすごくうまくて、「誰だ?」となって。坂東さんの所属事務所に1回顔見せでお会いしたいと伝え、『この初恋はフィクションです』(2021年)と『ユニコーンに乗って』(2022年)に出てもらいました。 ――坂東さんに美路人役をお願いした決め手は何だったのでしょうか? 松本P:お芝居の上手な方だとわかっていましたが、難しい役なので、スタッフとコミュニケーションがしっかりとれて信頼関係が作れる人じゃないと難しいと思っていました。坂東さんには、これまでご一緒したなかで信頼がありました。本作の坪井敏雄監督も、『王様に捧ぐ薬指』(2023年)で坂東さんと一緒にやった経験があり同意見でした。 主演の柳楽さんに、弟役として坂東さんはどうですかと聞いてみたところ、共演歴はないけれど映画などを観ていて興味がある、気になっているということでした。「絶対にこの役にハマります!」と柳楽さんにお話しして、坂東さんにお声掛けしました。 ――結果、大当たりでしたね。 松本P:これは結果論ではありますが、坂東さんは業界内でのお芝居の評価は高いですが、演じる役で雰囲気も変わるので、視聴者の方が「坂東龍汰」として存在を認知していたかといったら、そうではなかったと思うので、このドラマを見てくださった方が、彼が演じる美路人を「坂東龍汰」ではなく「みっくん」として先入観なく受け止めてくれたのではないかと。もちろんそれも、坂東さんのお芝居がそうさせたのです! 番手で言うと2番手という重要な役どころだったので、このドラマをきっかけに、坂東さん彼がさらに大きく羽ばたくなるきっかけになればいいなと思いました。