「チェンジメーカー」の育成を…公立王国の愛知県『中高一貫校』開校へ 背景に少子化による“存続の危機”も
■倍率は10倍以上の“狭き門”か 問われるのは「考える力」
進学塾の名進研は、2023年3月から公立中高一貫校専門のコースを始めた。
新たに開校する公立中高一貫校の普通科の定員は、各校わずか80人と狭き門で、倍率は10倍以上になるともいわれている。 2025年1月に行われる入学者選抜は、学力を測る「適性検査」と「面接」の2段階で行われる。 愛知県が公表している「適性検査」のサンプル問題は、新城市の特産品「八名丸さといも」を紹介するというもので、1問目では、さといもを紹介する原稿を作成する。
用意された7つの文を適切に並べ替え、2つの文章にする。
難しい単語や言葉遣いはないが、文章を読み解く国語の力が問われる。
煮物を作るための水と水蒸気に関する問題では理科の知識が問われるなど、回答はすべて選択式だが、教科の枠を超えた「考える力」が必要だ。 名進研の金澤篤社長: 「論理的に考えて行かないとたとえ選択問題といえ、非常に骨の折れるような内容だと我々は感じています。単純に知識を詰め込むというだけの学習で対応できるものではなくて、いかに持っている知識を組み合わせながら、そして色々と判断しながら答えに辿り着いていくという、そういった力が求められてくると思います」 名進研で行われた理科の授業では、『植物がでんぷんを作ること』をただ覚えるだけでなく、『どんな実験をすれば、効率よくデンプンが作れるのか』についても生徒が積極的に発言していた。
こうした“考える力”を養うことで、公立中高一貫校対策を進めようとしている。そして、中学受験の選択肢が増えることで、全体の受験者はさらに増えるといわれている。 名進研の金澤社長: 「今まで中学受験を考えていなかった層が、公立中高一貫校の誕生によって中学受験を考えるというようになってきました。中高一貫校の魅力というのが、より理解されたことだと我々は考えていますので、中学受験そのものの受験する家庭が増えて、活性化につながるんじゃないかなと考えています」 塾に通う生徒の親からも、公立だからこそ受験を決めたとの声もある。 生徒の母親: 「私立の中高一貫校というとやはり金銭的な負担が大きくて、公立の中高一貫校なら受験させて、もし受かれば行かせてあげるかなと思いました」