「映像を見ると、よくこれで済んだなと」 9月に落馬負傷の菱田裕二騎手、脳にダメージはなく復帰 「今までで一番痛みがありました」【競馬】
◇中央競馬記者コラム「ターフビジョン」 9月14日の中京競馬10Rで落馬負傷した菱田裕二騎手(32)=栗東・岡田=が、無事に先週の競馬で復帰を果たした。「思ったより早く戻ることができて良かったです」と、彼らしい人懐っこい笑みを浮かべていたが、事故直後のことを考えると、よく2カ月足らずで、ターフに戻って来られたなと思う。 それくらい事故のインパクトは大きかった。直線に向いて、しばらくしたところで起こった落馬のアクシデント。体から馬場に叩きつけられただけでなく、明らかに後ろにいた馬に頭部を蹴られていた。不安に襲われ、すぐさま検量室近くの救護室へ。そこで意識があると聞いて、ひとまず安心したものの、負傷場所が頭だけに、胸のざわめきが収まらなかった。 その時のことを振り返ってもらったが、「頭を蹴られた時は意識がなかったので覚えていないんです。救護室で意識を取り戻したのですが、今までで一番痛みがありました。着ていたものも脱げず、服を切ってもらったくらいで、体が全く動かなかったです。頭も2~3週間はズーンと重かったです」と、やはりダメージは大きかったよう。ただ、不幸中の幸いで、左上腕の骨折はあったものの、脳にダメージはなかった。 「確かに映像を見ると、よくこれで済んだなとは思います」。天皇賞・春をテーオーロイヤルで勝ち、待望のG1初制覇を飾った今年は、菱田にとって最良の1年となるだろう。長期の戦線離脱とならず年内復帰を果たせて良かったなと率直に思う。(黒柳勝博)
中日スポーツ