開幕V発進の紀平梨花のトリプルアクセルはどう進化したのか?
今回はフリーで注目の4回転サルコーを入れることは見送られたが、中庭氏は「4回転サルコーの練習をしていると、自身の感覚で1つ難しいグレードのジャンプを練習する事で、トリプルアクセルでさえ余裕が持てるようになります。その効果が出ているのでは」と、分析していた。 また4回転サルコーを冒頭に入れる前提でのプログラム構成が見て取れたという。 「4回転サルコーを見据えた構成になっています。4回転1本、トリプルアクセル2本という構成でしょう。今年にシニアデビューしてくるロシアの若手は、間違いなく4回転を2本以上入れてくると思います。彼女らが、演技構成点でどこまで評価されるかが問題ですが、2年後の五輪を見据えると、4回転を入れないと対抗は難しくなってくるのかもしれません。ただロシア勢には、トリプルアクセルはありませんので、紀平さんが4回転1本にトリプルアクセル2本の構成をモノにすれば勝てます」 フリーでは冒頭にトリプルアクセルの連続ジャンプを入れていたが、そこに4回転サルコーを置き、7本のジャンプのうち4本目に入れていた3回転サルコーの場所にトリプルアクセルを入れ、エレメンツをずらしていくのではないか、というのが中庭氏の見通しだ。 今季はロシアのアレクサンドラ・トゥルソワ(15)、アンナ・シェルバコワ(15)という2人の4回転ジャンプの使い手がシニアデビューしてくる。彼女らは、4回転トゥループ、4回転ルッツを操るため、基礎点で言えば、トリプルアクセルの8.00に対して、4回転トウループが9.50、4回転ルッツは11.50と高く、演技構成点の2、3点の差など技術点で簡単にひっくり返すことになる。その2人に対抗するには4回転+トリプルアクセルのプログラムが必要になってくる。紀平が挑戦する4回転サルコーの基礎点は9.70あるため、2本のトリプルアクセルとの組み合わせなら、それで十分に勝負できる。 紀平の次戦は10月5日、さいたまスーパーアリーナで行われるジャパンオープン。本人は、「そこで4回転に挑戦したい」と意気込みを語っている。