『海に眠るダイヤモンド』最終回で「全ての謎が解き明かされる」 新井順子Pが語る
――そういった演出も含め、野木亜紀子さんの緻密な脚本が丁寧に描写されてきましたね。 そうですね。脚本の緻密さに、映像になってからの驚きが加わっています。第8話の着炭に喜ぶシーンは、台本では動きの説明が多い場面だったのですが、本編ではとても感情豊かに撮られていてグッときました。炭鉱員の皆さんの顔が生き生きしていましたし、終盤に撮影したこともあってより一層チーム感が出ていましたね。最終回で、炭鉱員の北村(中村シユン)がタバコをくゆらせているシーンがあるのですが、その撮影ではスタッフさんたちが大号泣。人生の酸いも甘いも経験されてきた俳優さんの表情やニュアンスは、20、30代には出せないもの。貫禄、切なさ、寂しさを一気に感じ、塚原監督も思わず階段を駆け降りてきて「泣きました~!」と言っていました(笑)。どんなシーンなのかは放送を楽しみにしていてください! ――本作の物語そのもののテーマに、未来につながっていく力を感じます。 時代はつながっていて、自分が歩く道の先にも未来があります。便利な物であふれる現代ですが、そんな時代を生きる玲央(神木隆之介が一人二役)は第8話で「もっと思いっ切り笑って、誰かのために、泣いたり、幸せになってくれって祈ったり。石炭が出ますようにって心の底から願ってみたい。…俺もダイヤモンドがほしい」とこぼします。きっと玲央はその“ダイヤモンド”を見つけて歩いていくでしょう。本作を見たことで未来が変わるのか、それとも変わらないのか。皆さんにも地続きの人生から、未来につながる何かを見つけてもらえたらうれしいです。 ――最終回に向けて視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。 全ての謎が解き明かされる2時間になっています。視聴者の皆さんもそれぞれ興味や着眼点が違うので、注目しているキャラクターも違うと思います。現代パートでは滝藤賢一さんと麻生祐未さんが演じる新しい登場人物も出てきて、より一層、人生は地続きであると実感していただけるはず。考察してくださっている方々には答え合わせをしていただき、していない皆さんにはキャラクターたちの人生をただ温かく見守ってもらえたら。最終回を見て、もう一度第1話から見返していただくと、格別の感動を味わっていただけると思います。 過去と現在を結びつける壮大な物語が描くのは、時代を超えて繰り返される人間ドラマそのもの。時代の波に翻弄されながらも歩み続ける人々の姿は、私たち自身の人生とも重なる。歩んだ道の先に待つ未来は、変えられるのか、それとも変わらないのか。70年の愛の物語が残すメッセージには、未来と向き合うきっかけが隠れているかもしれない。