自由か? 安心か? すべての区立公園に防犯カメラ設置を決めた荒川区
公園は誰もが自由に利用できるからこそ、公園だと言えます。公園はみんなでマナーとルールを守ることが暗黙の共通見解になっています。そうした努力の成果もあって、公園は誰でも気軽に利用できる公共空間として機能しています。一方、昨今では公園が犯罪の温床になることやゴミの不法投棄がなされるなどの問題も指摘されています。 そうした事態を受けて、幼児や小学生の保護者からは公園をきちんと管理してほしいとの要望が寄せられるようになってきています。安全・安心な公園を目指すため、自治体はさまざまな方法で公園の治安対策・環境整備に力を入れているのです。
目が行き届きにくい大規模公園
東京・荒川区は、2015年10月1日から公共施設の防犯カメラに関する条例を施行しています。同条例は、区役所や公民館、道路、駅などでの防犯カメラの設置や運用のルールを明確にしたものです。 同区は2013年から、駅など人通りの多い公共スペースに防犯カメラの設置を進めてきました。現在、区や自治会・商店街などが公共施設や道路に設置した防犯カメラは249か所あります。 荒川自然公園には2機、あらかわ遊園には14機の防犯カメラが設置されています。2公園に防犯カメラが設置されているのは、どちらも大規模公園なので利用者が多く、保護者や管理事務所の目が行き届きにくいという事情があるからです。荒川自然公園は敷地面積が6万平方メートル以上もあり、荒川区最大の公園です。また、あらかわ遊園も敷地面積約3万平方メートルで、年間の来場者は36万人にも上ります。 「荒川自然公園とあらかわ遊園は敷地が広大なので、防犯カメラが設置されていたからといって、来園者が利用を遠慮してしまうほど気になるような存在ではありませんでした。それよりも雑踏での安全を確保する意味で、この2公園に防犯カメラを設置することは区民からも一定の理解がありました」(荒川区防災都市づくり部道路公園課)