初登板から「18試合連続無失点」の衝撃…オリックス“ドラ6ルーキー”古田島成龍(24歳)とは何者か? 大躍進のウラに「先輩妻」の支えあり
大切なのは「何を投げるかではなく、どこに投げるか」
チームメイトの存在も大きかった。特に、日本通運の正捕手を長く務め、侍ジャパン社会人代表にも選ばれていた木南了に教えを乞うと、様々なものを授けてくれた。 「常に80点以上の投球をする。高さ・コースどちらかは必ずしっかり投げる。大切なのは、何を投げるかではなく、どこに投げるか」 そんな信念は、木南と接する中で生まれたものだ。 社会人2年目になると「高めのストレートで相手に突き刺す」イメージの球を投じられるようになった。空振りやファウルを奪いやすくなり、投球が楽になった。5月のJABA 東北大会では2試合17イニング無失点という好投で優勝に貢献するなどチームを勝利に導くことが増えていった。 また、驚くことに余命わずかとされていた父・健二さんの体調も奇跡的に回復した。都市対抗の応援で東京ドームを訪れた際には、側から見れば病を感じさせないほどの回復を見せた。 そうなると家族の何よりの願いは、自身のドラフト指名となった。 当日は妻を含めた2年前と同じ面々で指名を待った。2年前と同じく、部屋の隅に忍ばせてあった花束と手紙にも気が付いた。 指名の可能性を示す調査書は5球団から届いていたが、会議が進んでいくと大学時代の苦い記憶が徐々に蘇った。獲得に熱心と感じていた球団は、大学・社会人の投手を次々に指名していく。不安は増すばかり。そんな時だった。
オリから6位指名「ガッツポーズして抱き合った」
「第6巡選択希望選手 オリックス 古田島成龍 投手 日本通運」 ふいに届いた吉報に、全員が声をあげ、ガッツポーズをして抱き合った。「指名があったら、すぐに合宿所に向かうように」と言われていたこともあり、すぐさま部屋を飛び出して自転車で数分の合宿所へ向かった。あまりに急いで飛び出したので「いくらなんでも、そんなに早く出ていかなくてもいいのに」と聡美さんは怒ったが、帰宅して再び喜びを分かち合い、花束を受け取り、今度は喜びの涙を流した。 普段は「言いたいことを言っています」と冗談や憎まれ口も飛ばしているが、ドラフト指名後の取材では、悲しみも喜びも共有してきた妻に感謝の言葉を惜しまなかった。 「料理もまったくできなかったのに、たくさん勉強して、栄養を考えた食事を出してくれました。千葉で働いていた妻は(日本通運のグラウンドがある)埼玉で一緒に暮らすために退職して、子供もできたので生活に余裕はありませんでした。でも、僕は本気でプロを目指し、妻は本気でサポートしてくれました」 4月30日には第一子となる長女が誕生。賑やかな家族がまた1人増えた。緊張感のかかる場面での登板が続くが、古田島は家族のため、チームの勝利のため、果敢に腕を振り続けていく。
(「令和の野球探訪」高木遊 = 文)
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