秋華賞は、桜花賞馬ステレンボッシュとオークス馬チェルヴィニアのどっちに分があるか?
GI秋華賞(10月13日)が行なわれる京都・芝2000mは、内回りでコーナーが4つあり、直線も短い。先行有利とされ、出走各馬には器用さが求められる。よって、こういうコースでの競馬では「紛れが出やすい」とよく言われる。 【画像】『みんなのKEIBA』MCの竹俣紅アナ「写真館」 しかしながら、過去10年の秋華賞を振り返ってみると、1番人気が4勝、3番人気が4勝、4番人気が2勝と上位人気がほとんど勝っており、"大波乱"は起こっていない。馬連の配当は3桁配当が4回で、2016年の3550円というのが最も高い配当。3連単も10万円を超えるような高額配当は一度も出ていない。 要するに、秋華賞はコース形態からして「紛れがある」――結果、「荒れる」と言われながら、実際はそうでもないのだ。その理由について、関西の競馬専門紙記者はこんな見解を示す。 「(京都・芝2000m戦は)『荒れる』とよく言われますけど、それはもっと下の条件でのこと。GIともなれば、メンバーもそろいますし、レースの流れもシビアになります。そこで、強い馬がいつもどおりの競馬を見せれば、『展開に恵まれた』という馬が出る幕なんてありません。やはり、強い馬が勝ちます。それが、近年の秋華賞の結果にも表れているのでしょう」 そして今年も、ここ最近の「強い馬」と言われる面々と比べてもそん色ない実力馬、世代のトップクラスが名を連ねてきた。 なかでも注目は、桜花賞馬のステレンボッシュ(牝3歳)とオークス馬のチェルヴィニア(牝3歳)の2頭だろう。近年の秋華賞のトレンドに従えば、おそらく勝つのはこの2頭のうちのどちらかと見る。
春の牝馬クラシック二冠においては、勝ったり、負けたりという戦いを見せてきたこの2頭。はたして、3度目の対決となる今回はどちらに分があるのか。 先の専門紙記者がこう語る。 「GI桜花賞(4月7日/阪神・芝1600m)はチェルヴィニアが13着と大敗しましたが、敗因は5カ月以上の休み明けだったことがほとんど。逆に、GIオークス(5月19日/東京・芝2400m)ではステレンボッシュがチェルヴィニアに半馬身差で負けましたが、スムーズな競馬ができたかどうかの差でした。 いずれの勝敗も、決定的な能力差を示すものではありません。つまり、両馬にはそもそもの能力において、『決定的』というほどの差はない、と言えるでしょう。 そして、どちらもしっかりした末脚を持っていますから、秋華賞でも最後はきっと末脚勝負になると踏んでいます。過去の秋華賞では、人気馬がゴール前でバテて下がってきた馬をさばくのに手こずるようなシーンがしばしば見受けられました。そういうアクシデントに見舞われることなく、スタートから最後の直線までうまく運んだほうが勝つ、としか言えませんね」 想定されるのは能力互角のGI馬2頭による、まさにガチンコ勝負である。 だが、そうは言っても、現実的に頂点に立つのはどちらか1頭だけ。何かしら、優劣がつきそうなポイントはないのだろうか。 「あえてひとつ挙げるなら、クリストフ・ルメール騎手の選択でしょうか。彼は、チェルヴィニアのデビュー3戦目となるGIIIアルテミスS(東京・芝1600m)の競馬がいたく気に入ったようで、あれ以来『クラシックはこの馬で行く』と言い続けていました。 そうしたなか、チェルヴィニアが出走できなかったGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)では、ステレンボッシュに騎乗して2着。そこでもし、ステレンボッシュのほう強いと思えば、こちらを選択することもできたはずです。しかし、当初の予定どおりオークスではチェルヴィニアを選択。見事に勝利を飾って、秋華賞でも同馬の鞍上を務めます。 結果はどうなるかわかりませんが、少なくともルメール騎手はステレンボッシュより、チェルヴィニアのほうを上に見ていることは確かでしょう」(専門紙記者) 春の段階では、完成度という点においてはステレンボッシュのほうがチェルヴィニアよりもやや勝っていた。そこからひと夏越しての成長を考えると、当時完成度で劣っていた分、チェルヴィニアのほうがより伸びしろがありそうに思える。 となると、勝つのはチェルヴィニアなのか。