導入増える『赤ちゃんの駅』 板橋区発・子育て支援策はこうして広まった
小池百合子都知事が誕生してから、半年が経過しました。五輪や豊洲問題で話題を振りまいてきた小池都政は、このほど初めての予算案を作成。2月の議会で、それらが審議されます。 小池都政初となる予算の特徴はいくつかありますが、なかでも目立っているのが待機児童問題の解消などを目的とした子育てに関する予算が手厚くなっていることです。小池都政における子育て支援は予算の増額だけではありません。保育所を新たに開設するには敷地が必要ですが、東京都の不動産事情ではなかなか手ごろな広さの敷地が見つからず、行政などの悩みの種になっていました。 小池都知事は土地不足の解消を行政だけの力で解決するのではなく、民間事業者にも協力を求めています。例えば、小池都知事は企業主導型保育施設の支援や保育所用地を貸し出してくれた土地所有者の固定資産税を全額免除することを表明しています。そうした民間活力を取り込むことで、子育て支援の輪が拡大することが期待されているのです。
赤ちゃん連れはだれでも使用可…授乳もオムツ替えも可能な施設
これまで保育所や学童といった子育て・教育政策は行政の職域と考えられてきました。しかし、最近は官民一体となって子育て支援に取り組む事例が増えています。 そうした官民一体の子育て支援策として注目されているのが、東京都板橋区の“赤ちゃんの駅”事業です。今般、待機児童問題が深刻化する中で保育所不足ばかりがクローズアップされがちですが、子育てにおける問題は待機児童の問題ばかりではありません。 赤ちゃん連れのパパ・ママは日常的な買い物や外出でも不便を強いられています。赤ちゃんを連れていると、授乳やオムツ替えといった作業を頻繁にしなければなりません。ところが、そうした設備が整っている施設は多くありません。そのため、子育て中のパパ・ママは出不精になってしまいがちです。 子育て中のパパ・ママを支援しようと始められたのが、板橋区の“赤ちゃんの駅”です。“赤ちゃんの駅”がスタートした経緯を板橋区子ども家庭部子ども家庭支援センターの飯嶋登志伸所長は、こう話します。 「板橋区には職員提案制度というものがあるのですが、“赤ちゃんの駅”は2005(平成17)年に現場の保育士から提案があり、翌年から導入されました。板橋区では、『オムツ替えの場所の提供』、『授乳のための場所の提供』、『ミルク用のお湯の提供』、『手洗い設備』、『冷暖房の完備』などの条件が揃っている施設を“赤ちゃんの駅”として認定しています。“赤ちゃんの駅”に認定された公共施設や店舗は、誰からもわかるように赤ちゃんの駅フラッグやステッカーを掲示し、赤ちゃんを連れたパパ・ママなら誰でも利用ができるようになっています」。