導入増える『赤ちゃんの駅』 板橋区発・子育て支援策はこうして広まった
マンションギャラリーに“赤ちゃんの駅” 板橋区では約170カ所、民間事業者にも徐々に広がり
当時、外出先で授乳やオムツ替えのできる店舗や公共施設は多くありませんでした。また、いきなり民間の商店などに授乳やオムツ替えのできる施設を設置することは難しいため、板橋区は手始めに保育園や幼稚園、児童館、健康保健センターといった公共施設を開放したのです。 そうした公共施設で“赤ちゃんの駅”が増えていくのにしたがい、その輪は、民間の商店にも広がっていくことになりました。 「民間の商店にとって“赤ちゃんの駅”になるための大きなハードルは、授乳のための設備です。オムツ替えは多機能トイレでも設置することが可能です。一方、授乳室はプライバシーが確保できるような部屋でなければなりません。そうした授乳施設を民間の商店が設置するのは難しいのですが、それでも毎年4~5件の申請があり、“赤ちゃんの駅”は確実に増えています。そうしたことから、“赤ちゃんの駅”は、民間にも浸透していると感じます」(同)。 “赤ちゃんの駅”として認可を受けている民間事業者には、薬局やカフェなどがあります。また、変わったところではマンションギャラリーが販売期間中に“赤ちゃんの駅”として活用されたこともありました。 2016(平成28)年10月1日の時点で、板橋区内には169か所の“赤ちゃんの駅”があります。数もさることながら、板橋区にまんべんなく点在しているので、赤ちゃんを連れて気軽に外出できるような環境になりました。 民間にも子育て支援の輪が広がることで、子育て環境の改善や周囲の子育てに対する理解も深まっています。板橋区から始まった“赤ちゃんの駅”という取り組みは、全国各地から注目されるようになり、導入が相次いでいます。 小川裕夫=フリーランスライター