豪、16歳未満のSNSを禁止へ 違反企業には約49億円罰金 若者をネットの「より危険な」世界へ追いやるとの声も
オーストラリアは28日、16歳未満の子どもの交流サイト(SNS)利用を禁止する法案を承認した。試験運用は来年1月から開始され、1年後に施行される予定。世論調査では国民の77%がこの法案を支持する一方、若者からは若年層をインターネットの「より危険な」世界へ追いやるだけだと指摘する声も聞かれた。またこの禁止措置は、アルバニージー豪首相にとって政治的勝利とみなされる一方、対米関係に緊張をもたらす可能性がある。 豪州でまもなく16歳未満のSNS利用が禁止される。大手SNS企業にとって、世界で最も厳しい規制となる。 この法案は、「インスタグラム」「フェイスブック」を運営する米メタや、動画投稿サイト「TikTok」を運営する中国バイトダンスなどに対し、子どもがアカウントを作成できないような措置を講じることを義務付ける。違反した企業には最高4950万豪ドル(約49億円)の罰金が科される。 今年行われた議会の調査で、SNSでのいじめにより自傷行為をした子どもの親から証言が聴取された。 この法案は、豪国内メディアからも支持を得た。 16歳のラムさんは、SNSの潜在的な害悪を認める一方、SNSは社会に深く根付いており、この法律は若者をインターネットのより危険な部分に追いやるのではと話す。 ラムさん 「禁止措置は、こうした壁を回避できるテクノロジーに精通した若い世代を生むだけだ」 プライバシー擁護団体や一部の児童権利団体も禁止に反対の声を上げる一方、最新の世論調査によると国民の77%が法案を支持した。 豪デジタル業界団体のスニタ・ボーズさんは、議会での法案可決は拙速だったと指摘した。 豪デジタル業界団体 スニタ・ボーズさん 「ある意味、これは本末転倒だ。(禁止)法案はあっても、規制対象となる企業が採用すべき正しい方法について、豪政府は指針をいまだに示していない」 グーグルとメタは、年齢確認の試験が終了する2025年半ばまで法律施行を延期すべきだと主張した。 同様のSNS規制を目指す国が増える中、豪州はテストケースとして注目されるだろう。 この禁止措置は、アルバニージー豪首相にとって政治的勝利とみなされる一方、対米関係に緊張をもたらす可能性がある。Xのオーナーであり、トランプ次期政権の中心人物であるイーロン・マスク氏は「豪国民全員のインターネットアクセスを裏から支配する方法のようだ」と投稿した。 豪州はまたSNS企業に対し、コンテンツを共有するメディアにコンテンツ使用料を支払うよう義務付け、SNS側から反発を受けた。さらに現在、詐欺行為を根絶できなかった場合は罰金を科すという計画もある。