ソフトバンク、「柳田悠岐」が長期離脱しても独走状態へ…背景には“不変の中核”というブレない戦略があった!
「3番栗原」
柳田が抜けた「3番」には、10年目の27歳・栗原陵矢を入れた。開幕直後の打撃不振で、一時は打率1割すら切ったこともある栗原だったが、その勝負強い打撃が復調気配を見せていたこともあり、もっぱら6番、7番の下位打線を担っていた左バッターを、クリーンアップへと“昇格”させた。交流戦14試合での「3番栗原」は、11試合でヒットをマーク。その役割を着実にこなしている。 6番には、6月1日から3試合連続で中村晃、さらに同5日から10試合連続で柳町達を起用した。今季5年目の柳町に対して、小久保は5月10日にファーム練習中の福岡・筑後へ直々に足を運び「チーム状態がいいのでなかなか入れ替えがない。我慢しといてくれ」とチーム事情を説明。 さらに「代打のためだけに(1軍登録の)1枠は考えていない」とあくまで4打席勝負のレギュラー格としての扱いゆえに、現状では1軍に上げないという、指揮官としての方針も伝えている。 その柳町は、交流戦開幕に合わせて1軍昇格。交流戦での個人打撃成績でも、日本ハム・水谷瞬、ソフトバンクの同僚・近藤に次ぐ両リーグ通しての全体3位タイとなる3割5分1厘をマークしている。 「勝利」という大前提のもと、それぞれの役割を果たす“強い個”を束ね、チームとしての強さを導き出していくという、その“小久保イズム”が浸透したその先に、4年ぶりのV奪回が待っている。 ※順位と成績は6月20日時点 喜瀬雅則(きせ・まさのり) 1967年、神戸市生まれ。スポーツライター。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当として阪神、近鉄、オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の各担当を歴任。産経夕刊連載「独立リーグの現状 その明暗を探る」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。産経新聞社退社後の2017年8月からは、業務委託契約を結ぶ西日本新聞社を中心にプロ野球界の取材を続けている。著書に「牛を飼う球団」(小学館)、「不登校からメジャーへ」(光文社新書)、「稼ぐ! プロ野球」(PHPビジネス新書)、「ホークス3軍はなぜ成功したのか」、「オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年」、「阪神タイガースはなんで優勝でけへんのや?」、「中日ドラゴンズが優勝できなくても愛される理由」(以上いずれも光文社新書) デイリー新潮編集部
新潮社