オリックス投手陣は主力が軒並み離脱中も明るい兆し 星野伸之が期待を寄せる若手は?
星野伸之インタビュー 前編 オリックス投手陣について 故障者や不振の選手が多く苦しい戦いが続いていたオリックスだが、6月5日のDeNA戦から7連勝を飾るなどチーム状態が上向きになりつつある。長らくオリックスのエースとして活躍し、引退後はオリックスの投手コーチも務めた星野伸之氏に、主力が揃わない投手陣の現状と、そのなかで躍動する新戦力や若手について聞いた。 【写真】オリックス・バファローズ「BsGravity」全メンバー(14人)京セラドームで撮り下ろし! 【主力がいない投手陣。先発ピッチャーに求められるのは?】 ――投手陣は宮城大弥投手をはじめ、故障離脱者が多く台所事情が苦しい印象があります。 星野伸之(以下:星野) 今季の宮城は素晴らしい球を投げていたのですが、山本由伸らが抜けて「自分が頑張らなきゃいけない」と力んでしまっていた部分もあったかもしれませんし、相当気を張っていたのかもしれません。山下舜平大がここまで長くファームにいるのも誤算だったと思いますし、開幕前に故障で離脱した山岡泰輔はまだ登板すらできていませんしね。 それと、山﨑颯一郎、宇田川優希、小木田敦也、平野佳寿がまだ一軍に上がれていないのでリリーフ陣も苦しい。投手陣全体がうまくいかない感じですよね。支配下登録したばかりの才木海翔を1点リードの9回(6月1日の中日戦)に起用せざるをえなかったり......。もちろん期待しているからこそ送り出したと思うのですが、チーム状態の苦しさも表れています(結果は2失点で負け投手に)。本当はもっと余裕のある場面で起用して育てたいはずですから。 ――そろそろ疲れも溜まってくる時期、という事情もありそうですね。 星野 特にオリックスの場合は、(5月8日に)秋田で試合をした後に宮崎、鹿児島、沖縄と続き、一度大阪に帰ってきた後に北海道へ。交流戦は広島から始まりましたし、遠征が続いて日程的にも厳しかった。体力的に苦しかったでしょう。
――チーム状態がよくない時期に、遠征の疲れが追い打ちをかけた形ですか? 星野 そうですね。ピッチャー陣全体の調子がよくない状況では、比較的にコンディションの調整がしやすい先発ピッチャーがいかに長いイニングを投げられるか、がポイントになります。しかし、多くの投手が先制点を与えたくない気持ちが強すぎて、立ち上がりから全力で投げてしまっていた。リリーフ陣が充実していれば5回まででもいいのですが、手薄な現状だと長いイニングを投げてほしいですし、遠征が続いて体力的に苦しい時期はなおさらです。 曽谷龍平が(5月25日の)西武戦で先発した時も、「少しでも長いイニングを」ということでだいぶ引っ張りましたよね。結果的に6点を取られて7回途中で交代しましたが、その次に登板した中日戦では7イニングを無失点で抑えましたし、曽谷なりに成長していると思うんです。そういった部分的に明るい材料はあっても、チームとして束になりきれていない時期が続いていましたよね。 ――長いイニングを投げるためのポイントは? 星野 たとえば、150kmの真っすぐを投げられるけど、追い込むまでは145kmぐらいの真っすぐで投げるといったように、最大の出力で投げる球は温存しておくんです。場面によってはギアを入れてもいいと思いますが、基本は145kmぐらいで投げる。 僕の場合は平均球速が120km台と遅かったですが、追い込むまではマックスより5km程度遅い球を投げるなど、僕なりに長いイニングを投げるために最大出力で投げる球は温存してましたからね。気持ちは全力だけど、ギアの入れどころはわきまえる。そういう"八分投球"の意識も必要だと思います。 【リリーフ陣は「肩を作るタイミングの見極めが大変」】 ――リリーフ陣もなかなか揃わずに苦しい状況ですが、新戦力が頑張っています。今季から加入したアンドレス・マチャド投手はいかがですか? 星野 安定感抜群ですし、「マチャドで打たれたら仕方がない」という存在になっていますね。平野がいい状態で戻ってきてくれると少しは楽になるのですが、今はマチャドにかかる負担が大きくなります。ただ、途中加入した(ルイス・)ぺルドモが戦列に加わりますし、リリーフ陣の層は厚くなるでしょう。 ぺルドモは昨季、ロッテで残した実績がありますし(42ホールドポイントで最優秀中継ぎ投手を受賞)、彼がしっかり投げられるのであれば、先発ピッチャーも少し早めに交代できるかなと。かといってぺルドモに頼りすぎるのではなく、中嶋聡監督は本田仁海など今いる中継ぎとうまく併用していくと思いますけどね。