松重豊主演「孤独のグルメ」シーズン1は食事シーンの原点はもちろん、井之頭五郎の人間性や過去が垣間見られるレアシーンありの必見作
2012年にテレビ東京で連続ドラマ化されて以降、今や日本人の生活に溶け込んでいるといっても過言ではない「孤独のグルメ」シリーズ。2025年1月にはついに初の映画「劇映画 孤独のグルメ」が公開される。主人公・井之頭五郎を演じる松重豊が監督と脚本も手掛け、五郎が究極のスープを求めてフランスのパリに出向くという。 【写真を見る】五郎が記念すべき初回で食したのは「門前仲町のやきとりと焼きめし」 コロナ禍でも番組は続き、2022年にはシーズン10が放映されたが、10月4日(金)からは新たに「孤独のグルメ特別編 それぞれの孤独のグルメ」がスタート。松重以外にもひとり飯を楽しむ多彩なキャストが登場する。ちなみに同作の原作は久住昌之、作画は谷口ジロー。輸入雑貨商を営むお酒が飲めない主人公が仕事の営業や懐かしい知人を訪れるために降りた駅で、カンを頼りに店に入り、美味しいものを自由に食する。 記念すべき「孤独のグルメ」シーズン1は、2012年1月から深夜枠でスタートした。基本構成は今と変わらないものの、長身でコワモテゆえに誤解される五郎のキャラクターや過去の恋愛がフラッシュバックするシーンなども盛り込まれ、現在よりもややヒューマンドラマのパートが多めなのが特色だ。気持ちいいほど美味しそうに食べまくる五郎は変わらずだが、今に至る試行錯誤も発見できる原点の作品である。 ■仕事で浦安のチャペルに行き、フランスでの恋に想いをはせる五郎 シーズン1のロケ地は都内が中心となっているが、千葉県浦安の駅に降り立つ#4では、五郎がパームツリーの風景に「ここはカリフォリニアか?」と驚がく。打ち合わせ相手の女性に式場に案内され、花嫁を見た時にはフランスに住んでいた頃の恋愛に想いをはせるなど、独身主義の五郎の意外な過去を垣間見ることができる。 #11では、文京区根津の飲み屋さんの特辛カレーを味わっていると、酔っ払いが絡んでくる。そこで五郎は「表に出ましょう」と連れ出し、アームロックを決めて追っ払ってしまう。五郎の男らしさが感じられるシーンだ。さらに、スーツにネクタイが定番の五郎だが、仕事が次々にキャンセルになり、オレンジのジャケットにマフラーというカジュアルファッションに身をまとい、杉並区永福で不機嫌な顔で釣りをする回(#5)も。井之頭五郎の人間性や歴史が見られる、原点ここにありのシリーズだ。 ■山椒の辛さでハイになり、定食の安さに頬をつねったり...五郎の食事満喫シーンの原点 そしてもちろん、五郎の食事を堪能するシーンの面白さもこのシリーズから始まっている。#3の池袋で入った四川風中華料理店では店員に「カラいよ」とニヤニヤしながら言われながらも「汁なし坦々麺」を注文。案の定、舌がしびれるもハイになって完食してしまう。#6では、中野区鷺宮のとんかつ屋でミックスカツ定食を頼み、出てきた料理を見て「上がヒレカツ、下がチキンカツ...2階建か。いいじゃないか」と心の中でつぶやく、五郎独特の感想フレーズも展開される。#10の豊島区東長崎の大衆食堂では、食べられるのか心配になるくらいのおかずとご飯をガツガツ食べて、その安さに夢なのかと頬をつねり、おいしいものには目がない姿を見せるシーンも。 シーズン1は、五郎の人間性が分かるレアなシーン、そして今に通じる五郎の食べ姿など、改めて見返したい一作だ。 文=山本弘子
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