<センバツ>市和歌山 甲子園初出場・壱岐、主導権引き寄せる一発
◇第91回選抜高校野球・2回戦 ○市和歌山6-2高松商●(28日・甲子園) 二回2死一、二塁。市和歌山の9番・壱岐が真ん中高めの球に脇を締めて力強く振ると、中堅フェンス際まで伸びる二塁打になった。2点を加え、これでリードは3点。完全に主導権を引き寄せた。 【注目プレーをダイジェスト動画で】四回裏、市和歌山・壱岐のタイムリー 壱岐は1回戦で出番がなく、この日が甲子園初出場。187センチの長身の2年生は、投手起用の兼ね合いで自分に出番が来ることを朝から予感し、食事もろくにのどを通らないほど緊張していた。しかしこの初打席、2ボールから最初のストライクをファウルにして「バットを振り、タイミングも合ったことで楽になった」。もう1球ボールをはさんだ後に来た甘い球を逃さず、しっかり捉えた。 市和歌山は1回戦で呉(広島)に延長の末サヨナラ勝ち。開会式直後の独特の雰囲気に包まれ、全員が極度に緊張して苦戦した。この日は力を発揮するため「特に1巡目の打席は打てるボールが来たら積極的に振ろう」と確認して臨んだ。 一回は緒方が高めの甘い球をフルスイングして左翼席へたたき込んだ。二回は1死から山田が最初のストライクを左前打、続く滝谷も初球を右前打にしてたちまち好機を築いた。2戦目でリラックスした選手たちが狙い通りの打撃で作った流れに、唯一の初先発だった壱岐も乗り、鮮やかな速攻になった。 同県のライバル智弁和歌山の快勝を見て「僕らもやってやる」と気合が入った。前回準優勝校を上回ろうとする市和歌山の勢いは、どんどん加速している。【石井朗生】