【ライブレポート】Official髭男dismの“朗報=Rejoice”に2万人が沸いたKアリーナ公演、そして夢のはるか向こう側へ
Official髭男dismのライブツアー「Official髭男dism Arena Tour 2024 -Rejoice-」が本日11月20日に北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナでファイナルを迎えた。本稿では11月12、13日に行われた神奈川・Kアリーナ横浜公演のうち2日目の模様をレポートする。 【ライブ写真】2万人を前に熱演を繰り広げ、スタジアムライブへの勢いを付けたヒゲダン(ほか全8枚) ■ ライブスタートに輝いた「REJOICE」 藤原聡(Vo, Piano)の声帯ポリープ治療を経て、今年7月のファンクラブ会員限定公演で約1年半ぶりにライブ活動を再開したヒゲダン。そのFC公演はコロナ禍で規制されていた声出しが解禁された1発目のライブでもあった。彼らが声出しOKのツアーを行うのは約4年ぶり。ヒゲダンは7月にリリースした最新アルバム「Rejoice」の楽曲を中心にめくるめくパフォーマンスを繰り広げ、幅広い年齢層の観客を楽しませた。 ライブ開幕を告げる恒例のBGMであるMy Chemical Romance「Welcome To The Black Parade」が終わると、約2万人が大歓声を上げる。オープニング映像を経て巨大なビジョンに映し出されたのは、藤原の後ろ姿を追いかけるリアルタイム映像。藤原が階段をゆっくり登りステージに登場すると観客のリストバンドライトが点灯し、会場が美しい光の粒で埋め尽くされた。 ステージにそろったヒゲダンは、藤原の弾き語りからミディアムナンバー「Sharon」でライブを開始し、じわじわと演奏の熱量を上げていく。コーラスやギター、ホーンセクションといったサポートメンバーも登場し、「Are you ready? 横浜ー!」という藤原の絶叫で「Get Back To 人生」が始まると、ド派手な音玉と同時に巨大な「REJOICE」の文字がステージに出現。“朗報”や“喜び”といった意味のこの言葉がヒゲダンの頭上で煌々と輝き、観る者の高揚を誘った。 ■ 藤原“完全復活”のロングトーン 続く「宿命」「Stand By You」では場内の一体感がぐんぐん高まっていく。「今年一番の声で!」という藤原の要求に応えた観客により、アリーナが大合唱で満たされた。「君たちなんですか? その声量は。時代が変わる声がするね」と観客の熱気に圧倒された様子の藤原。会場中を見渡した彼は「歌詞がわからないときは気持ちで歌ってください。それで伝わるから。曲を知らないからって引け目を感じる必要はないんで。OK?」と呼びかけた。「キャッチボール」からはシンプルなライティングと、メンバー4人を中心としたストレートなバンドサウンドによるパフォーマンスが届けられる。「日常」「濁点」と内省的な楽曲が続き、シリアスなムードで演奏が始まったのは人気曲「Subtitle」。降りしきる雪のような照明演出の中、愛する人に直接叫んでいるかのような藤原の切実な歌声がエモーショナルに響いた。 ヒゲダンはその後も圧倒的な完成度で次々に楽曲を演奏していく。「115万キロのフィルム」では藤原が“完全復活”を証明するかのようにすさまじいロングトーンで観客を圧倒。「ホワイトノイズ」では小笹大輔(G)の勇ましいギターが熱狂を誘い、ラストにオクターブ上の高音で藤原がまたしてもロングトーンを聴かせて喝采を浴びた。さらに、きらびやかなアッパーチューン「ノーダウト」では楢崎誠(B, Sax)がサックスでホーンセクションに加わりステージを縦横無尽に駆け回るなど、見どころ満載のパフォーマンスが展開された。 ■ 療養期間に出会った宝物 藤原が一時退場したところで、これまでクールにバンドの屋台骨に徹してきた松浦匡希(Dr)が「最高ですわー! 感無量です! 声出しを我慢してきた分を取り戻すようにはしゃいで、みんながそれに応えてくれてうれしい」と破顔。それを受けて松浦は「取り戻すどころか、今まで見たことないくらいの強さだよね」と観客を称えた。その後、楢崎を中心に「ポケモンカード」のアプリについて熱弁したり、この日誕生日であったサポートメンバーのあつき(Tp)を祝ったり、和気あいあいとトークを繰り広げたメンバーたち。ステージに戻った藤原も「我こそは一番遠くから来たぞ!という人?」などと客席に語りかけ、ファンとの交流を楽しんだ。 観客との発声練習で気合いを十分に高めたヒゲダンは、コミカルな映像とともに「うらみつらみきわみ」でパフォーマンスを再開。「ミックスナッツ」「Anarchy (Rejoice ver.)」などで合唱やクラップを巻き起こし、ライブ終盤も勢いを衰えさせることはない。“美しい緑色”のリストバンドライトで壮観が広がった「Chessboard」の演奏を終え、藤原は「イメージをはるかに超える音楽の幸せをみんながくれました」とファンに思いを伝える。さらに療養期間を振り返り「すごく悔しかったけど、転んだ先で自分を助けてくれる人たちと出会えた。そして曲を聴いてライブを心待ちにしてくれたみんなの存在が本当に助けてくれました。僕は何を返せるだろう?と思いました」と感謝の気持ちを口にした藤原。「これから曲を作るうえで、みんなの人生のピンチに音楽で手を差し伸べられるバンドでありたい。しつこいくらいずっと手を差し伸べるみたいに新しい曲を作ってライブをして、みんなを待っている。そんなバンドでありたいと思ってます」と決意を語った彼は、「そんな宝物と出会えたから、しんどい時間は思い出に変わりました」と力強く断言した。そして会場が温かなムードに包まれる中、ラストナンバー「B-Side Blues」が奏でられた。 ■ スタジアム公演は「夢のはるか向こう側」 アンコールでヒゲダンはみずみずしい最新曲「Same Blue」を披露。さらに、初のスタジアムライブを2025年5、6月に行うことを発表し、2万人から割れんばかりの拍手を浴びた。「スタジアムに負けないくらいのアンコールを一緒にやりませんか?」と藤原が煽ってから披露された「SOULSOUP」では、先ほどの朗報の余韻も手伝って客席にこの日一番の熱狂が渦巻き、金テープの発射にアリーナが揺れた。最後に藤原は「上京したときに神社で『武道館に行けますように』とお祈りしたことを覚えてます。キャパがすべてではないけど、みんなが夢のはるか向こう側まで連れて来てくれました」「バンドってただ大きなキャパでライブすればいいってもんじゃないと思う。キャパが小さいところにだって可能性が満ちあふれています。だから、来年はスタジアムだけど、みんなが住んでる街に行くのがこのバンドの夢でございます」と語り喝采を浴びた。そして彼らは最後に「TATTOO」を披露。スタジアムライブへの勢いを付けるような大合唱を巻き起こし、祝祭感の中でこの日の公演に幕を下ろした。 スタジアムライブ「OFFICIAL HIGE DANDISM LIVE at STADIUM 2025」は5月17日と18日に大阪・ヤンマースタジアム長居(長居陸上競技場)、5月31日と6月1日に神奈川・日産スタジアムで行われる。チケット情報はオフィシャルサイトで確認を。 ※楢崎誠の「崎」は、たつさきが正式表記。 ■ セットリスト □ 「Official髭男dism Arena Tour 2024 -Rejoice-」2024年11月13日 Kアリーナ横浜 01. Sharon 02. Get Back To 人生 03. 宿命 04. Stand By You 05. キャッチボール 06. 日常 07. 濁点 08. Subtitle 09. 115万キロのフィルム 10. ホワイトノイズ 11. ノーダウト 12. うらみつらみきわみ 13. ミックスナッツ 14. Anarchy (Rejoice ver.) 15. Chessboard 16. B-Side Blues <アンコール> 17. Same Blue 18. SOULSOUP 19. TATTOO ■ 公演情報 □ OFFICIAL HIGE DANDISM LIVE at STADIUM 2025 2025年5月17日(土)大阪府 ヤンマースタジアム長居(長居陸上競技場) 2025年5月18日(日)大阪府 ヤンマースタジアム長居(長居陸上競技場) 2025年5月31日(土)神奈川県 日産スタジアム 2025年6月1日(日)神奈川県 日産スタジアム ※記事初出時、カメラマンクレジットに誤りがありました。お詫びして訂正します。